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2019年01月17日21:59

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世界の前で Vor dem Gesetz

世界の前で Vor dem Gesetz

Franz Kafka

世界の前に門番が立っていました。
その門番のところに田舎もんの男がやってきて
門番に世界の中へと入らせてもらうように頼みました。
しかし門番は言いました。
「今は、入ることを君に許すことは出来ない」
男は少し考えて、
「あとになったら入るのが許されるのですか?」と尋ねました。
すると門番は
「あとになったらできるかもしれない。でも、今は、それはできない。」
と言いました。

さて、
世界の門はいつも開いているようだったので門番が門の脇に立ったとき、
狭い門を通して世界の中を見ようと男は身をかがめました。
すると、それに気づいた門番は笑ってこう言いました。

「そんなに興味あるなら、俺の忠告を無視して中に入るのを試したらいい。
ただし覚えておいたほうがいい。俺は強い。
どの門の前にも門番が立っていてべつのやつよりもそいつは強い。
俺でさえ、こっから3番めの奴を一目見ただけで、すぐ逃げ出してしまう。」

田舎もんの男はそんな困難が待ち受けているとは夢にも思っていませんでした。
「世界には、でもだれにもいつでも入れるようになっているはずなのに…」
しかし、まじまじと、かっこよさげな門番を見たら、
すっごいガタイよさそうだし、ケンカも強そうだし,
それに整ったヒゲまで生えていると思い、
彼は世界に入る許可がもらえるまでむしろ待っとこうと決心しました。
門番は彼にいすをもってきて、門の前のわきに座らせました。

そこで、彼は何日も、何年も座りました。

彼は、世界に入るのが許されるようになるように、いろんなことをやってみました。
しかし、ただその彼の願いは門番を疲れさせるだけでした。
門番は、よくちょっとした質問をしたり、
たとえば男の故郷についてだとか他のたくさんのことについて尋ねました。
しかし、それは仕事に関係ない上司が、一応聞いとくか。
みたいに聞くあんま興味なさそうな感じのものだったし、
結局いつも門番は、いまはまだ世界の中へ入ることが出来ないと何度も言うだけになりました。

また、男は旅のためにたくさんの物を用意していました。
でも高価なものも、高価でないものも賄賂として使ってしまいました。
そしてこの門番は何も言わずすべてを受け取ったのですが、ただ、こうは言いました。

「まぁ、俺は受け取るけどね。
でも、それは何かしそこなったと君が思ってほしくないからなのだけどね。」

長年、田舎もんの男はずっと門番がどういう人なのかしっかりと見ていました。
というよりも、
男は、他の門番がいることを忘れてしまっていましたし、
世界への第一歩を踏み出すのに、
この門番はただひとつの障害物のように、
彼には思えていました。

彼は始めの一年は、
自分の不運を声を大にして荒っぽいかんじで呪っていたのですが、
年をとった今ではただ独り言をつぶやくだけになってしまいました。
もう子供っぽくなっていたし、長く門番といっしょにいたのだけれども、
門番のマフラーにノミみたいな虫がいるのを気づいたのですが、
彼はなんとノミみたいな虫に、助けてくれ!門番を説得してくれ!
と心の中でたのんでしまうようにもなっていました。

最終的に、男の目力は弱くなっていました。
彼はもうあたりが本当に暗くなっているのか、自分の目がそういう風にみせているのか、
それがわからなくなっていました。
けれども彼はその暗闇の中で確かに輝きが、
世界の門から突然差し込んでくる輝きがあるのが、この今になってわかりました。

もうこうなっては、彼は長くは生きられません。
男がもう死にそうになって、門番と長年いっしょにいたとき、
ずっと思っていたこと、
今まで門番に聞いたことないことを思いつきました。
彼は門番に合図しました。
彼のからだはすでに固まりかけていて、
門番は男にすいこまれるように、深くかがんで彼のほうへ向きました。

もう男と門番の違い、田舎もんの男の不利になるような違いが変わっていました。

「いまさら、何を知りたいって君は言うんだ」
門番は男に言いました。
「ほんと、君は、知りたがりだなぁ」
「でも、みんな、世界へとひたすら進んでるでしょ?」
男は言いました。
「それなのに、どうして、私を除いて、門へ入ろうとする人がいなかったんですか?」

門番は長年いっしょにいた男がもう死ぬ!と分かったので、
消えかかっている男の耳にしっかり届くように大きな声で言いました。

「ここに誰も入ろうとしなかったのは、
この入り口がただ君のためと決まっていたからなんだ。
さ、じゃ、あれを閉じて、俺は行くよ。」

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VOR DEM GESETZ (FRANZ KAFKA)

Vor dem Gesetz steht ein Türhüter. Zu diesem Türhüter kommt ein Mann
vom Lande und bittet um Eintritt in das Gesetz. Aber der Türhüter sagt, daß
er ihm jetzt den Eintritt nicht gewähren könne. Der Mann überlegt und fragt
dann, ob er also später werde eintreten dürfen. „Es ist möglich“, sagt der
Türhüter, „jetzt aber nicht.“ Da das Tor zum Gesetz offensteht wie immer
und der Türhüter beiseite tritt, bückt sich der Mann, um durch das Tor in das
Innere zu sehn. Als der Türhüter das merkt, lacht er und sagt: „Wenn es dich
so lockt, versuche es doch, trotz meines Verbotes hineinzugehn. Merke aber:
Ich bin mächtig. Und ich bin nur der unterste Türhüter. Von Saal zu Saal
stehn aber Türhüter, einer mächtiger als der andere. Schon den Anblick des
dritten kam nicht einmal ich mehr ertragen.“ Solche Schwierigkeiten hat der
Mann vom Lande nicht erwartet; das Gesetz soll doch jedem und immer
zugänglich sein, denkt er, aber als er jetzt den Türhüter in seinem Pelzmantel
genauer ansieht, seine große Spitznase, den langen, dünnen, schwarzen
tatarischen Bart, entschließt er sich, doch lieber zu warten, bis er die
Erlaubnis zum Eintritt bekommt. Der Türhüter gibt ihm einen Schemel und
läßt ihn seitwärts von der Tür sich niedersetzen. Dort sitzt er Tage und Jahre.
Er macht viele Versuche, eingelassen zu werden, und ermüdet den Türhüter
durch seine Bitten. Der Türhüter stellt öfters kleine Verhöre mit ihm an, fragt
ihn über seine Heimat aus und nach vielem andern, es sind aber teilnahmslose
Fragen, wie sie große Herren stellen, und zum Schlusse sagt er ihm immer
wieder, daß er ihn noch nicht einlassen könne. Der Mann, der sich für seine
Reise mit vielem ausgerüstet hat, verwendet alles, und sei es noch so
wertvoll, um den Türhüter zu bestechen. Dieser nimmt zwar alles an, aber
sagt dabei: „Ich nehme es nur an, damit du nicht glaubst, etwas versäumt zu
haben.“ Während der vielen Jahre beobachtet der Mann den Türhüter fast
ununterbrochen. Er vergißt die andern Türhüter, und dieser erste scheint ihm
das einzige Hindernis für den Eintritt in das Gesetz. Er verflucht den
unglücklichen Zufall, in den ersten Jahren rücksichtslos und laut, später, als
er alt wird, brummt er nur noch vor sich hin. Er wird kindisch, und, da er in
dem jahrelangen Studium des Türhüters auch die Flöhe in seinem Pelzkragen
erkannt hat, bittet er auch die Flöhe, ihm zu helfen und den Türhüter
umzustimmen. Schließlich wird sein Augenlicht schwach, und er weiß nicht,
ob es um ihn wirklich dunkler wird, oder ob ihn nur seine Augen täuschen.
Wohl aber erkennt er jetzt im Dunkel einen Glanz, der unverlöschlich aus der
Türe des Gesetzes bricht. Nun lebt er nicht mehr lange. Vor seinem Tode
sammeln sich in seinem Kopfe alle Erfahrungen der ganzen Zeit zu einer
Frage, die er bisher an den Türhüter noch nicht gestellt hat. Er winkt ihm zu,
da er seinen erstarrenden Körper nicht mehr aufrichten kann. Der Türhüter
muß sich tief zu ihm hinunterneigen, denn der Größenunterschied hat sich
sehr zuungunsten des Mannes verändert. „Was willst du denn jetzt noch
wissen?“ fragt der Türhüter, „du bist unersättlich.“- „Alle streben doch nach
dem Gesetz“, sagt der Mann, „wieso kommt es, daß in den vielen Jahren
niemand außer mir Einlaß verlangt hat?“ Der Türhüter erkennt, daß der
Mann schon an seinem Ende ist, und, um sein vergehendes Gehör noch zu
erreichen, brüllt er ihn an: „Hier konnte niemand sonst Einlaß erhalten, denn
dieser Eingang war nur für dich bestimmt. Ich gehe jetzt und schließe ihn.
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