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2020年09月22日05:08

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私家版(地下版?)ゴジラに至る道:その2

<ゴジラ映画にみる戦争体験の風化 2>

*『ゴジラ』は歓迎された映画だったか

 昭和29年に公開された『ゴジラ』は我が国初の本格的怪獣映画であり怪獣映画というジャンルを築き上げ以後50年にわたるゴジラ映画の礎となった作品であることは周知のとおりですが、初めてこのような架空の存在をスクリーン上に定着させることになった制作陣にはいかに怪獣にリアリティを持たせればいいかというノウハウがまだなかったことを念頭におきたいと思います。第5福竜丸の被爆という事件がきっかけの1つとなったこの映画はゴジラという架空の存在に現実味を持たせるため、戦争の体験を抽象化するというよりむしろなまなましく盛り込むことを手段として選びました。漁船の遭難を描く冒頭から空襲と共通点の多いゴジラの襲来、芹沢博士の特攻を連想させずにおかない最期に至るまですでに多くの人々により指摘されているところですし、ゴジラの顔は正面から見たら原爆のキノコ雲のように見えるようにデザインされることが検討されていたことも有名な話です。架空の存在ゴジラにリアリティを持たせるためならなりふりかまわず手段を選ばずの苦闘ぶりで、たぶん制作陣はどこまでやっても不安だったのだろうと思います。

 結果として『ゴジラ』はピントの合った脚本・効果的な演出・俳優達の力のこもった演技(力みすぎとの声もありますが)等の映画が名作になるための条件を単にそなえている存在にとどまらず、それらの諸条件を備えた上で戦争の惨禍のイメージをこれでもかというくらい盛り込んだ作品になったわけです。『ゴジラ』が1つの分野の始祖となるほどのインパクトを有する作品になったことは当然のことでした。

 それでは当時の人々にとって『ゴジラ』は歓迎すべき映画だったのでしょうか。


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