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2021年05月10日11:43

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驚くべき実像!『まさかの福澤諭吉』(雁屋 哲)

<あとがき――なぜ、私は福沢諭吉について書いたのか>(抜粋・編集)
日本の最高額紙幣の肖像画は福沢諭吉です。
私たちが日常的に一番目にしている「日本の偉人」は福沢諭吉なのです。
(その理由の)第一は「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」という言葉によるものでしょう。実は、慶應義塾のHPでもきちんと書かれているのですが、この(言葉の)最後には「といえり」が付いています。この「といえり」が問題なのです。
最初の「天は・・・」は福澤の言葉でも思想でもないのです。そういう言葉があるよ、と伝えたに過ぎません。ところが、その「といえり」を除いた「天は・・・」の部分が福澤諭吉自身の思想と誤解され、彼は「民主主義の先駆者」として尊敬されているのです。
彼は、その後の幾つもの著作の中で「天は・・・」とは正反対の、人間どうしの差別を助長する言葉を連ねています。・・・天皇制絶対主義を推し進め、当時の朝鮮や清国(中国)から、台湾、東南アジアまでを日本の勢力下に置き、しかも、軍人は天皇のために喜んで死ぬ、という日本の侵略主義、軍国主義の基本路線を敷く論文を大量に書いています。
1945年の敗戦による日本の破滅に至る路線はすでに、福沢諭吉によって敷かれていたのです。福澤諭吉は「軍国主義」「侵略主義」という明治以降の日本の針路を定めた人間なのです。このような人物を、どうして現在の日本人は偉人として崇めるのでしょうか。
その第一は、丸山眞男という戦後知識人の代表とされた人間が、彼を「民主主義の先駆者」として持ち上げたため、人々が権威ある学者のことばとしてありがたく受けとめたからであり、第二は、人々が自分自身で福沢諭吉の著作を読むという態度を持たなかったからだと思います。
実際に、福沢諭吉の著作を読んでいる人は少ないのです。
『学問のすすめ』さえ、その第一編に当たるわずか24ページを最後まで読んだ人が極めて少ないのではないでしょうか。
そこで私は、福沢諭吉の全集の中から、彼の思想の節々で重要であると思われる論文、著作などを選び、現在の日本人に理解できる言葉に直しました。しかも・・・・マンガの形にして、多くの方にとっつきやすいようにしました。
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(注)「美味しんぼ」で有名な著者・雁屋哲さんは「マンガ日本人と天皇」という実に鋭い天皇制国家・日本論を書いた人です。この本は、福沢諭吉が民主主義の先駆者ではなく、当時の薩長藩閥政府のために行動する「反民主主義的」な思想の持ち主だったことを(上)(下)の漫画で詳しく解説した本です。


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