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2020年09月11日12:44

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『喜望峰』(57577系短詩)


『喜望峰』(57577系短詩)

                  2020.9


甘えなど 許されないと 雷に 
向かって走る 僧侶の如く

あめんぼは 雨が降っても 晴れの日も 
線形幾何学 すいすいと解く

ころころと 坂を転がる 大玉の
張り子破れて 中身が漏れる

巣篭りて 文を鬻いで 過ごす日々
居合の極意 筆にとどめん

あめんぼの すいすいと行く 身の軽さ
水のカンヴァス 跡を残さず

他人様に 期待し過ぎちゃ いけないよ
入れ替わったら 自分も同じ

うれしくて 小躍りするよな 偶然が
文学だよと 作家は言った

無関心 無表情の 人の中
はじける笑いに つられて笑う

エアコンの 温度調節 気まぐれで
効かなかったり 効きすぎたりす

暑いから 設定室温 ぐっと下げ
効かぬと言う間に 冷え冷えと効く

設定と 実際気温 紛らわし
温度計さえ 場所ごと違う

治療中 医師の手先が ふと止まり
私的なことを なぜか聞き来る

齢よりも 若く見えると おだれられ
余計なことを しゃべってしまう

延々と 話し中では 困ります
こんな不便な 仕組みは変えて

受付は たったひとりと 聞いたので
あきれ果てたよ つながらないよ

利用者の 立場になって 考えて
無駄無理ムラの 電話受付け

秘密など なければないで なにがしか
寂しくもある 秋の訪れ

身のわりに 騒がしい声 まき散らす
蝉のしぐれも 途絶えんとする

かすれ鳴く 老いの蝉には 力無し
息絶えたれば 地上に返す

あれこれの 備えばかりに 気を取られ
晴れてびくびく 降っておろおろ

着信音 まぎらわしいと 変更し
腹減ったようと 苦笑を浴びる

高笑い 忍び笑いに 苦笑い
芋を洗って 煮っ転がそう

いらだちを だれのせいにも できずして
コロナくるなと となえてあゆむ

品切れの 体温計を 探しつつ
検温マニアに なりゆく自分

いざともに 書物の中で 旅立とう
世界の果ての 喜望の岬へ

繰り返し つぶやくことは ただひとつ
だれでもひとは 喜望を探す

一冊の 書物にさえも 見出すは
高波洗う 喜望の岬

懸命に 病原菌を 避けながら
思い浮かべる 喜望の岬

姿なき 飛沫に怯え 不機嫌の
荒れたる舌に 喜望を乗せる

巣ごもりの 未来は見えず 鬱屈の
人の心に 喜望峰見ゆ





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