NATOはむしろ縮小すべき局面

日本人の意識はロシア＝悪の帝国で、日夜世界征服に邁進しているとの常識で凝り固まってしまったので、NATOは正義の軍団で拡張すべしの一途しかなくなってしまうが、NATOは冷戦時代の遺物なのでもう縮小する方が妥当。

旧ソ連＋ワルシャワ条約機構という明確な敵がいた時期はNATOは存在意義があったが、現在のロシアは欧州経済圏に組み込まれており、欧州主要国とロシアは敵対するよりも経済的に共存するほうが、アメリカ大陸ブロックやアジアブロックとの競争力を維持出来る。冷戦時代の枠組みで考えるのは大変非合理でナンセンス。



NATOに所属している国にもう共通の敵はないので、例えばユーゴスラビア紛争の時は地続きの欧州諸国と遠方だからある意味対岸の火事のアメリカとで利害が割れ、統制が取れなくなった。

中東で戦争がある場合も、中東の難民が流入しやすい欧州と大西洋を隔てているアメリカとでは地理的条件が違うので、NATOとして一致団結して介入することはまずない。

かつ、NATO内の軍事大国のドイツやフランスにとっては、小国に安全保障をタダ乗りされる面もあるので、フランスにはNATO脱退論もある。



旧世紀の遺物だからもう縮小した方が良いぐらいのNATOを、アメリカが望む代理戦争の火種を作るためにウクライナやフィンランドに拡大するのは、欧州諸国からしたら馬鹿馬鹿しい話で、ウクライナのためにロシアと戦争して、ロシアの安価なガスや石油や穀物や移民労働力を全部捨てるのは割に合わない。

フィンランドにはロシアとわざわざ戦争する理由がない。ロシアの欧州向けのガスパイプラインのノルドストリーム2はフィンランド領内を通っており、ロシアと欧州が友好的に経済活動すれば自動的にフィンランドに関税が入ってくるので、フィンランドがロシアと争う理由はないし、ロシアもフィンランドから攻撃されていないので進攻する理由がない。

現状、ロシアとフィンランドで争う理由はないが、ウクライナに進攻したのだからフィンランドにも進攻するに決まっている！ と勝手に思い込んで、わざわざ中立を捨ててNATOに加盟し、わざわざ核兵器を搭載可能なステルス戦闘機のF35を配備すれば、もちろんロシアは反発する。

アメリカは正義の防衛網としてフィンランドをNATOに入れるのではなく、ロシアへの嫌がらせと、ドイツがアメリカに逆らって独自路線を取らないようにノルドストリーム2を人質に取るために、フィンランドをNATOに引きずり込もうとしているということ。



ゼレンスキーと同様にマリンがアメリカの傀儡ならば、バイデンの言いなりにロシアへの経済制裁としてノルドストリーム2を遮断する。その上でさらにロシアを攻撃可能な長距離ミサイルやステルス戦闘機を配備するなら、それは普通に戦争になる。

仮にウクライナが停戦したとしても、次の戦争をフィンランドでやれるようにアメリカはしっかり仕込んでいる。なので日本では一機240億円もするF35を、フィンランドには約90億円で売る。日本が防衛費を倍増してアメリカの軍需産業にバラ撒く金は、フィンランドへのF35特売の原資になっている。

という悪辣な代理戦争の仕込みをアメリカがフィンランドに仕掛けているのだが、日本人はロシア＝悪の世界征服主義者、NATO＝正義の軍団 とステレオタイプに思い込んでいるので、フィンランドのNATO加盟は当たり前で素晴らしいことという意見しかない。

当のフィンランド人はどう思っているのか。日本と違って、ゼレンスキーとバイデンに騙される人ばかりではないと思うが。



バイデン政権は戦争ヤル気満々で、中間選挙で民主党が勝って与党のままならば、確実に戦争は続く。戦時経済が続くならば日本の景気は悪いままで、欲しがりません勝つまでは状態が続く。兵器輸出国になるならば別だが。

実際既にNY市場も東京市場も株が継続的に下げており、日本はさらに通貨が弱くなって輸入が厳しくなっている。今の日本に輸出競争力がある産業はほとんどないので、円安にメリットはほぼない。

とまぁバイデンが主導する世界戦争は日本にはほとんど益が無いが、日本人は首相から庶民まで、みなバイデンの言いなりに戦争に突っ込む。反対意見は草の根でごくわずかしか聞こえて来ない。80年前と同様に、挙国一致で敵を侮って安易に戦争しようとしている。


■フィンランドがNATOに加盟申請へ　侵攻で国民の危機感高まる
(朝日新聞デジタル - 05月12日 16:22)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=6953919