チャイコフスキー国際コンクール　藤田真央、優勝者は

「蜜蜂と遠雷」で、風間塵のピアノ演奏を手がけていたのが、藤田真央。
風間のピアノは特異なものと描写されている。

藤田は、今年のチャイコフスキー国際コンクールで第２位だった。
公式ホームページで、コンクールの動画を見ることができる。

<公式ホームページトップ>
https://tch16.medici.tv/en/replay/
ガラ・コンサートの動画が勝手に再生される。
ピアノ以外にも、ヴァイオリン、チェロ、声楽、金管、木管とまあ、大変大規模なコンクールである。

藤田のファイナルの動画はこちら
https://tch16.medici.tv/en/replay/#filter?slug=final-with-mao-fujita

チャイコフスキー　ピアノ協奏曲第１番
ラフマニノフ　ピアノ協奏曲第３番　　　の2曲を演奏している。

指揮をするのは、ヴァシリー・ペトレンコ。
2014年に東芝グランドコンサートでオスロ・フィルを率いていたロシアの若手。
来年、英国の名門、ロイヤル・フィルの音楽監督に就任することになった。

伴奏は、スヴェトラーノフ記念ロシア国立交響楽団
State Academic Symphony Orchestra Russia “Evgeny Svetlanov”

藤田のチャイコフスキーは独特だと思う。
音色が丸い。ややゆったり目のテンポではじめる。
彼の資質が活かされているのはむしろ、ラフマニノフの３番の第２楽章。
印象的な旋律がない中の緩徐楽章。

ファイナルで演奏した米国のケネス・ブロバーグの演奏と比べてみると、
よくわかる。
https://tch16.medici.tv/en/replay/#filter?slug=final-with-kenneth-broberg-

曲間の舞台裏の映像も見せてくれるところがいい。
藤田は、緑茶のペットボトルを飲んでいる。

審査員は、ロシアのデニス・マツーエフが委員長。バリー・ダグラス、ミシェル・ベロフ、ネルソン・フレイレ、フレディ・ケンプ、メナハム・プレスラーなど、結構有名な人ばかり。

ではでは、優勝したのは、誰かといえば、アレクサンドル・カントロフ(フランス)。
<カントロフのファイナル>
https://tch16.medici.tv/en/replay/#filter?candidate=234

演奏したのは、
チャイコフスキー　ピアノ協奏曲第２番
ブラームス　ピアノ協奏曲第２番

たまげた。
芥川龍之介のような神経質そうな風貌からは全く予期しなかった、
ダイナミックで骨太の重量級の演奏。
チャイコの２番は気合と胆力が必要な超大きな曲なのに、スケールでかい。
その後にブラームスの2番とは、とんでもない体力、気力。
こっちも、すばらしく重量級である。

また、藤田の演奏と見比べてみて、気がつくのは、オーケストラのヴァイオリンが両翼配置になっていること。後ろで見守るおばちゃんの顔がちがう。
「蜜蜂と遠雷」であったように、ピアニストの依頼で配置も変えたのだろうか。

アレクサンドル・カントロフ、おそるべし。
カントロフの姓で、もしやと思ったら、ヴァイオリニストのジャン＝ジャック・カントロフの息子だって。

この人、きっと、エミール・ギレリス好きだわ。
彼のガツンと来る演奏そっくりだ。
レパートリーも似てる。

<セミ・ファイナルの演奏>
https://tch16.medici.tv/en/replay/#filter?candidate=234,slug=semi-final-with-alexandre-kantorow

ブラームス　2つのラプソディー
ブラームス　ピアノソナタ第2番
ストラヴィンスキー　火の鳥ピアノ版
フォーレ　ノクターン

<ファーストステージ>
https://tch16.medici.tv/en/replay/#filter?candidate=234,slug=first-round-with-alexandre-kantorow-

バッハ　前奏曲とフーガ
リスト　超絶技巧練習曲から第12曲　雪あらし
ショパン　練習曲集　第８番
ベートーヴェン　ピアノソナタ　第２番
チャイコフスキー　瞑想曲
ラフマニノフ　音の絵　第９番

藤田真央も
<セミ・ファイナル>
https://tch16.medici.tv/en/replay/#filter?candidate=244,slug=semi-final-with-mao-fujita

スクリャービン　ピアノソナタ第２番　幻想ソナタ
ショパン　ピアノソナタ第３番
プロコフィエフ　ピアノソナタ第３番

特にショパンの第３ソナタがすんばらしかった。
情感と響きが絶妙。演奏後の拍手がなかなか止まない。

まだまだ聞くところが多い。
でも、このWebサイト、YouTubeと違って動画の流し方に工夫がなくて、回線が細いようだ。

コンクールって、おもしろい。