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2019年08月26日00:04

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ニューヨーク公共図書館

フレデリック・ワイズマン監督の「ニューヨーク公共図書館 エクス・リプリス」は、2017年製作のドキュメンタリー。
撮影は16年に3か月間行われていたよう。1年かけて編集。
ワイズマン監督は今年89歳なのだが、相変わらず元気だ。

この映画も3時間半。

東京では、岩波ホールが連日大入り満員だったそう。
新聞が大きく取り上げたことと、図書館という身近な題材だったためなのか。

舞台になっているニューヨークの図書館は、「公共」であって、「市立」ではない。
カーネギーホールのアンドリュー・カーネギーが設立したNPO法人が運営しているため、民間からの寄付と市からの資金が頼りなのである。

例によってワイズマンはそうしたことを館長が話す会議の中で示していく。
民間からの寄付金があれば、市からの資金の呼び水となるといって、パーティを開いたりするのだが、そのパーティ会場も図書館のホールらしい。

図書館といっても、大都市ニューヨークなので、87の分館を持つが、映画では全部は紹介しきれていないという。

古くからの広告写真を収蔵している部門に、学校の生徒が訪れる場面では、20世紀初頭の写真が結構出てきて、ウォホールは結構ここちら盗んでいったと館員は伝える。

館長は会議で、資料のインターネット公表の必要性を語る。そして、インターネット環境がない世帯のためにルーター等を支援する事業も行っているとのこと。パブリックドメインとして公開することで、教育の機会均等を図ることが大事だ。
 次のカットで、図書館のパソコンコーナーの使用している人たちが写し出される。
google mapで場所を調べている人、ゲームしている人、大腸ガンについて調べている人。館長のいうアカデミックな活動をしている人は写し出されない。

「ブルーノ・ワルター・オードトリウム」という看板。
室内楽の演奏会が写し出される。
寝ている観客もいる。
オードトリウムは講堂の意味だと思って、多目的ホールなのかと思っていたら、
音楽堂の意味もあった。

後で調べてみたら、室内楽とか器楽のコンサート専用ホールで、もちろんブルーノ・ワルターが、ニューヨーク・フィルの音楽監督だったことに由来する。
なので、ひさしぶりにワルターのベートーヴェンの演奏を聴きながら書いている。

図書館は、日本でいう学童保育の役割も果たしており、夜遅くしか帰ってこない両親の家庭の子どもを預かっている分館もある。
先生に対して、図書館が頼みにしている様子もあって、持ちつ持たれつの関係のようだ。

黒人文化研究センターでは、イスラム教の聖職者が奴隷制度を容認していたという誤った認識を正す講演が行われていたりする。

ホールでは、エルヴィス・コステロが、サッチャーが行ったことは許せない、
と明言する(彼は英国人だったのね)。
こういったトークショーも、学者みたいな人も含めて結構あるようだ。

冒頭のトークショーは、本館の玄関ロビーのようなところで、聴衆も立っている。
そんなに長い話ではないにしても、日本では立って演説を聴くのは、学校の校長先生の話ぐらいだろうに。

点字の読み方指導や、図書の朗読の収録の様子も収められてる。
パフォーミングアーツセンターでは、手話通訳は、話している人の感情によって表現が変わることを伝えていて、圧巻。

就職説明会では、消防署の人が来て、防火訪問の活動の仕事があることを説明している。

ちょっと気になったのは、分館の係員の人が結構腕に入れ墨をしていること。
ニューヨーク公共図書館に通い詰めたという日本の人が、現地から訪れた図書館員と
対話した内容を見ると、図書館員のレヴェルが大学の図書館学を大学院までマスターした
ぐらいに高度なのだと言っていたが、
そうした人たちにも入れ墨文化が浸透しているのだろうか。

なお、つなぎに図書館前の大通りの光景が写し出されるのだが、決まって消防車や救急車がサイレンを鳴らしてる。

途中休憩が入って3時間半があっという間。
最後のエンドタイルが、バッハの「ゴールドベルク変奏曲」。
えっ、誰かブルーノ・ワルター音楽堂で公演した人の演奏かと思いきや、
よく耳にするグレン・グールドの演奏だという。

米国から来た図書館員の人の話はおもろしくて、ワイズマン監督の米国知識層の評価も窺い知れる。



こちら、ニューヨーク公共図書館のWebサイト
https://www.nypl.org/

そして、こちら、ブルーノ・ワルター音楽堂のWebサイト
https://www.lincolncenter.org/venue/bruno-walter-auditorium

公式facebook
https://ja-jp.facebook.com/pages/Bruno-Walter-Auditorium-at-Lincoln-Center/167121513352232

見覚えのあるおじさんが映っていると思えば、5月の音楽祭で金沢に来てくれたファルカシュ・ガーボル。ハンガリーのピアニスト。
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