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2020年04月11日23:23

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【展覧会】超写実絵画の襲来(Bunkamuraザ・ミュージアム)

描かれている対象のリアルさはもちろん、しっかりと丁寧に絵具が塗りこめられた平らなキャンバスもまた「写真のようだ」と思えるスーパーリアリズム絵画。
一方で、非常に不自然でもある。見た、まさにその瞬間を切り取ったような絵でありながら、細部まで隙がない。そこに編集というか創造というか、作為がある。「写真のよう」だが、やはり絵なのだ。

リアルなようでリアルでない。そして、リアルなところからもリアルでないところからも画家の熱意が伝わってくるのが面白い。
写実性を追求するために、植物であれば葉や花弁の1枚1枚に、生き物であればひげや触覚の1本1本に、人工物であればそれら1つずつの存在はもちろん、作られ、運ばれ、その場に置かれた経緯や携わった人々に、人物であれば髪やまつ毛の1本1本、服のひだの1つ1つに思いを馳せていることが分かる。
作為的であるがために、時間を体感できる。動物や昆虫は毎回同じポーズを取ることはできない。自分のやるべきことを理解している人間も、最初と寸分違わないポーズは取れない。植物・食物は時間が経てば傷んでしまうし、風景は季節や時間、天気によって刻々と変化する。理想の作品を仕上げるために画家が試行錯誤した時間はどれほどだろうか。

もちろん、スーパーリアリズム絵画だけでなく、どの手法の絵画作品も緻密に計算されて作られているのだが、この展覧会を見なければ、画家が細部の細部にまで、そのパーツの質感のみならず成長・成熟をも思いながら作品を仕上げていることを知ることはなかったかもしれない。


展覧会を見に行ったのは3月下旬の金曜の夜。お花見や送別会などのパーティーで大勢の人が浮かれている・・・と思いきや、新型コロナウィルス感染症拡大防止のためにいろいろなことが自粛され、渋谷の街はかなり人口密度が低かった。
普段は現代物、和物は鑑賞しないのだが、見に行くつもりにしていた舞台や展覧会が軒並み中止・休止に追い込まれる中、何でもいいから芸術に触れたい!と思って駆け込んだ展覧会で貴重な経験をすることができた。
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