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2019年11月14日23:22

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【展覧会】リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展(Bunkamura ザ・ミュージアム)

コートールド美術館展(イギリスの実業家サミュエル・コートールドのコレクション)を鑑賞した後で本展覧会を見て、ブルジョアのコレクションと貴族のコレクションは違うもなのだなぁと感じた。どちらが良い・悪いということではなく、そもそものコンセプトが異なっている。コートールドのコレクションは感覚的で、コートールド自らの感性と審美眼によって作品を集めているのに対し、リヒテンシュタイン侯爵家のコレクションは理性的。伝統の継承と、「領土と人民のために必要なものは何か」という教育的視点を強く感じた。

今回の展覧会では、リヒテンシュタイン侯爵の個人コレクションによる絵画と工芸、合計126点を鑑賞できる。工芸はスルーしようと思ったが、絵画があまり面白くなく(笑)、工芸についてのメモが多くなった。
工芸で興味深かったのは、ホットチョコレートをこぼさず飲むためのカップ&ソーサー(トランブルーズ)。受け皿の中央にカップを支えるホルダーがついている。展示されているだけで3種類なので、実際のコレクションはもっと多いだろう。受け皿を重ねてコンパクトに片づけることができず、食器棚のスペースを無駄に占拠する非常に贅沢な食器。
景徳鎮や有田に金の装飾が施されているのも面白い。個人的には金の装飾は不要だと思うが、これがヨーロッパのセンスなのだろう。

絵画があまり面白くないと先に記したが、すべてが全く面白くなかったわけではない。静物画は素晴らしく、銀器、果物(特にブドウやサクランボなど皮の薄いもの)、花の描写が秀逸だ。
フェルディナント・キュスによる「バラとアンズのある静物」は、ピンクのバラだけがぎゅっと花瓶に詰め込まれている様子が豪華。花弁の質感も見事だ。花と果物の香りが漂ってきそうで、絵の前から立ち去りがたかった。
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