mixiユーザー(id:7303697)

2019年08月02日20:59

133 view

翻訳の問題

かなりデリケートな(技術的および姿勢の面での)問題を含んでいると思う。
私はハングルはまったくわからないが、この発言は勿論日本語でされたものではない。つまり、下記引用部分(記事のタイトルにもなっている翻訳部分)は、ハングルで発信されたものであるはず。
だから彼は絶対に「ヌスットタケダケシイ」とは言っていない。
なんらかの「強い言葉で非難」はしたようだけれど。

> また、「加害者である日本が、盗っ人たけだけしく、むしろ大きな声で騒ぐ状況は絶対に座視しない」と強い言葉で非難した。


そもそも諺(ことわざ)や慣用句というのは、訳すのが難しい。複数の寓意があったりするし、また例えたものが持つイメージによって、その表現がそもそも意図した、または本来意図しなかったが後々持つようになってしまった或る種のバイアスや指向性が生じてくるからだ。そして、世の神羅万象についての「イメージ」は、国や民族や言語などの背景によって、それぞれ大きく異なる(場合がある)。

"Time is money." なんていうのは直訳可能だし、ニュアンスもほぼパラレルだが、「猿もおだてりゃ木に登る」は、「猿」と "monkey" に対してそれぞれの言語が持つイメージがイコールではない。

日本人が、その母語である日本語を用いて「盗っ人猛々しい」という表現を選んだら、それはもう相当の悪意と覚悟をもって「喧嘩を売っている」以外の解釈は無いと思う。
果たして文氏の言語における表現が、ニュアンスとしてどの程度のものだったのか。

この原語を訳すに当たり、「盗っ人猛々しい」という選択が、まず純粋に語学的に最適訳だったか、他に言いようが無かったか。
さらに、訳者はそこ、つまりこの極端に強い表現を(この極めて政治的な文脈において)選ぶことの意味を理解し、覚悟していたか。
文氏の放ったハングルに、「泥棒」「窃盗犯」を直接示すフレーズが含まれていたのであればこの訳で問題無いだろうが。

延いては、読者はこれが「翻訳」の結果であることを理解、意識し、そこを差し引いて、もしくは少なくとも疑って読んだか。


断っておくが、私はこの一連の出来事について韓国(政府)の対応には一貫して否定的だが、これはそういう話ではない。
純粋に「慣用句や諺の翻訳の難しさ」と、ことにそれが微妙な外交問題について語られる場合の、安易な翻訳とそれを疑問無く受け取ることの危険さ、という話だ。
 



■文大統領「日本、盗っ人猛々しい」 ホワイト国除外で
(朝日新聞デジタル - 08月02日 14:56)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=5732877
1 4

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する