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2019年11月21日06:18

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水という本来のレガシー

ウォータフロントという言葉は近年、住む場所、あるいは訪れる場所として、多くの人が魅力的に感じられるエリア・ワードの一つになっています。だが水辺の魅力を生かす開発は、現代の人の専売得許ではなく、古くから我が国の都市計画に盛り込まれてきました。

その代表的事案が、関東大震災の復興事業によって、隅田川両岸に整備されたリバーサイドパーク・隅田公園でしょう。川沿いの遊歩道といえば、パリのセーヌ河畔やニューヨークのハドソン河畔などが有名です。

だが、当時の隅田公園をそれらに匹敵すると評価する人もいます。しかし、公園としての優れたデザイン性も、後に不法滞在者が住みつき、さらに戦後、下町の浸水被害者をなくそうと公園側から川が見えなくなるような防潮堤を築いた為、景観が台無しになりました。

今でこそ自治体は水辺の大切さや魅力を声高に叫んでいるものの、戦後の高度成長期には水辺の魅力に全く築かず、景観を無視した開発が行われました。当時、隅田公園をはじめとする川沿いの防潮を要望していたのは墨田・江東・江戸川区です。

これらの区には、台風による高潮の不安があったにしろ、水辺のパブリックアクセスが失われることの重大性をどこも築いていなかったのです。その後、90年代になってようやく東京都が、隅田川の水辺空間の回復を施策として打ち出しました。

ただ、この施策によって新設された遊歩道や堤防には、かつてのような趣が無くなったと、専門家から厳しい評価が下されています。墨田区・江東区・江戸川区にとっては水辺とその景観は財産であると語っています。

というか、大都市の魅力の源泉になる要素は、河川、街路、公園といった公供空間の調和と美しさにあるといっても過言ではありません。殺風景な都会に潤いを与えてくれる水辺の街は、派手さはないでしょうが、癒し系のコンセプトが隅田川沿いの街づくりにはぴったりだと思うのです。

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