ＭＯＴＨＥＲ　マザー

計画性も無くその場その場を適当に生きている母親とそんな母親に育てられた少年、やがては妹も出来て家族として最底辺の生活を送るが、浅はかな母親の考えで少年は祖父母殺害へと至る。
長澤まさみが毒親を演じて新境地を開く大森立嗣監督作。少年が幼い頃は「誰も知らない」「万引き家族」の二番煎じのような印象だったけど、少年がティーンエイジャーになってからは独自の路線を走り出して嫌な気分が最後まで続く。
ああ、全くバカな母親だ。親失格というより人間失格だ。自分勝手で我儘で、完全に頭がいかれている。あの両親と妹がいてどうしてこういう大人に育ったのだろう。それなりの美貌なので男が寄っていく、という役柄は長澤まさみだから出来たのだろう。
あの母親は息子が服役していても何とも思ってないだろうし、あの少年はどういう大人になっていくのだろうか。
チャラい男を演じる阿部サダヲが独自の魅力を放つ。「いだてん」で水泳コーチを一緒に演じた皆川猿時を恫喝するあたりのいかがわしさと怖さったらない。