還って来た男

戦地から帰還した青年軍医が実家の父親に見合いを勧められ、何度も偶然に出会ってしまう女性と交流したりレコード屋の家族と交流したり見合い相手と偶然に出会ってしまったり、とほのぼのとした川島雄三の監督デビュー作。
処女作にはその作家の全てが揃っている、とはいうもののこの処女作には叙情と詩情が溢れていて川島監督の他の映画はそのあたりは希薄ではあるけどなあ。
これは戦後の話なのか、と見ていてよく分からなくなったけど、戦中に作られ戦中に公開された戦中の映画。みんな大らかじゃないか。戦時下だからと言って庶民はいつも苦しかったわけではない、ということがわかってホッとした。