mixiユーザー(id:7076225)

2019年05月23日00:33

402 view

第19回ゲームブック【緋色のハザード】感想

フォト

ぜろです。
【緋色のハザード】リプレイ、いかがでしたでしょうか。
この作品はKindleで簡単に手に入って読むことができますし、ものすごく手軽な感覚でプレイできますので、もしかしたら途中でプレイしてみた方もいるのではないでしょうか。
さてまずは、いつも残しているチャレンジ遍歴から。

アタック01 緋川病院で焼死
アタック02 世界ごと滅びる
アタック03 緒方警部に射殺される。
アタック04 場違いな推理を披露して関係者全員射殺
アタック05 疑心暗鬼の殺し合いで血の海に沈む。
アタック06 絶対死ぬ選択肢の前で立ち往生。
アタック07 絶対死ぬ選択肢の前で立ち往生。
アタック08 絶対死ぬ選択肢の前で立ち往生。
アタック09 和久井さんに殺される
アタック10 和久井さんを殺して世界は救われた
アタック11 クリア! おめでとう!!


●手軽さについて

まずこの作品の特徴といえばなんといってもこれ。
私のように18回もかけてリプレイを書こうなんて考えなければ、ほんのわずかな時間で手軽にプレイして、結末までたどり着くことができるでしょう。
ステイタスもないので、繰り返しのプレイも苦になりません。同じ選択肢を選べば同じ展開になるのだから、いちいち最初に戻って読み返す必要はないわけですから。
この軽くプレイできる感じはとてもいいですね。
ストーリーも第一章と第二章で趣向を変えてきて、変化も楽しませてくれます。

また、そうした手軽さを際立たせるものとして、登場人物の配置の絶妙さが挙げられます。
こうした作品にありがちな典型的な造形のキャラクターをいかにもな役割に配置することで、登場人物を覚えるといった負担が非常に少なくて済んでいます。

第一章、雪山山荘事件の推理の難度もちょうど良かった。
少し考えればわかるといったレベルで、いい感じにあてることができていい気分になれます。
ただ、本当にシチュエーションから犯人あてをするというだけで、証拠を押さえたわけでないところは少し気になりました。
けど、ミステリではないのだから、これで十分ですね。
それを言い出したら第二章の黒幕あての方は、推理でもなんでもなくただのあてずっぽにすぎませんでしたね。


●選択肢について

ゲームブック作品ではよく「主人公は君だ!」と言いますが、本当は必ずしもそうではありません。
プレイヤーは主人公に訪れた選択肢を選びこそすれ、プレイヤーの意図どおりに動くとは限らない。
それを強く感じた作品でした。

例えば犯人をあてる時に、主人公はその人を犯人と思った根拠を挙げますが、それは必ずしもプレイヤーが考えていたものとは一致しないわけです。
銃砲店長が黒幕である理由は私には考えつきませんでしたし、読んでもいまいちピンときませんでした。(第14回アタック09-1)

緒方警部が更科博士に拳銃を突きつける場面(第12回アタック03-14)では、私は更科博士は信用ならないが、まだ必要な人物と考え、間に割って入りました。
しかし主人公は「博士は感染症拡大を防ぐためにワクチンを開発していたんです。重要参考人なんてこと、あるはずがありません」と言い切り、私の思惑とは正反対の行動を取ってお亡くなりになりました。

それからおそらく意図的に、プレイヤーに選択させない場面もありましたね。
主人公は下山してから和久井さんを緋川市民病院へ搬送したわけですが、それはどうしてでしょう。
その前に和久井さんの貴重品の中から極東大学附属病院の診察券を見つけていれば、そちらに行く選択も生まれたでしょうし、最初に更科博士のところに連れて行っていれば、このような展開にはならなかったかもしれません。

このあたりをどう感じるかは人それぞれでしょう。やりすぎなければゲームブックで作者が意図的にプレイヤーを誘導するためのテクニックかなと思います。

主人公との乖離を最も強く感じたのは、第二章の黒幕あてクイズのところです。
だってあそこ、黒幕あてられなかった場合、黒幕ばっちり判明してるのに、主人公だって目撃してるのに、プレイヤーには明かされないんですよ!
黒幕あてクイズをキモにし続けるためにああするしかなかったとはいえ、目の前に登場してるのに黒シルエットのままなんて、コナン君に失礼ですw
フォト
面白かったからいいですけどw


●システムについて

この作品は意欲的にいろんな要素を放り込んでいます。
第一章はパラグラフサーフィン主体になっており文中にある「緋色」という単語に反応するとストーリーが進む仕掛けです。
「緋色」を発見すると「お!」ってなりますね。

第二章はジョンズシステムですね。自由行動の時間があり、一定の時期にさしかかるとストーリーが進行する。
前半と後半で仕掛けが違うので、目先が変わって良かったです。
第二章のラスト付近、忘れた頃にこっそり「緋色」を仕込んでおくというのも面白かったかも。難度をはね上げてしまいそうですが。

ちなみに更科博士が真相を語る場面で「禁じられた緋色の研究に手を染めた」と言っていたのでパラグラフジャンプを試してみましたが、繋がっていませんでした。惜しい!


●エンディングについて

さて、実はエンディングについては、少ししっくり来ていません。
……単に私が和久井さんにあまり思い入れがなくて、むしろ作中一番お気に入りのキャラクターが緒方警部だから、というのもありますがw
緒方警部絶対死んじゃうし。緒方警部ルートのエンディングがあってもいいのよ?w

まあそれは冗談です。

普通にプレイして、大きな犠牲を払いながらも和久井さんは救うことができた、で終わればそのまま受け入れられたのでしょうけれど、私がこう思ってしまったのにはもう一つ別のエンディングの存在があります。

下山した直後に和久井さんを殺したら、何も知らないままパンデミックが起きずに平和に過ごせてめでたしめでたしエンドのことです。(第16回)
このエンディングの存在を知ってしまうと、諸行無常を感じずにはいられません。和久井さん1人の犠牲でそれ以降の多大な犠牲が回避できることがわかってしまうのですから。

よくある「彼女1人を救えずして、世界を救えるなんてできるものかー」的な熱血主人公さんに対する残酷で強烈なカウンターですよね。
選ばれなかった未来は未知のものなので、下山直後のあの選択肢の場面で和久井さんを殺すかと言ったら普通はそうしないのは理解できます。

私がしっくりこないのは、雪山山荘事件の犯人、角田をやむなく殺した時とは異なり、主人公は明らかに明確な殺意を持って、主人公に対する攻撃性が明確になっていない和久井さんを殺しているにもかかわらず、何のペナルティも受けない点です。

雪山山荘事件にも捜査の手が入り、主人公は重要参考人になっています。パンデミックが起きないなら当然捜査の手は伸びるわけで、人知れず世界にゾンビによる混乱は起きずに済んだが主人公は殺人罪で逮捕された、というエンディングがこの場面にはふさわしかったように思います。そうなるべき伏線は張られていたように思いますので。因果応報って大事です。

でなければ、これを超える犠牲者0のスペシャルなベストエンディングを用意してもらいたかったところです。男塾やキン肉マンよろしく、緒方警部が当たり前のようにひょっこり生きて出てきたりとかw え? ゾンビ化して再登場!? ソレハヤメテ!


●バグ報告

今回私が気づいたのは1か所だけ。しかもパラグラフジャンプミスではありません。

92
(誤)パソコンの捜査をしながら
(正)パソコンの操作をしながら

では、以上で【緋色のハザード】リプレイを終わります。
こういった簡単にプレイできる作品もいいですね。私の場合、結局みっちりと時間をかけることになってしまうわけですけれども。

ゲームブックリプレイ【緋色のハザード】目次
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1971311365&owner_id=7076225

4 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する