「そろそろ、花の話をしようか」白ヘビのその言葉に、白鬼はハッとして、顔を上げました。そうだ、僕は花がどこに咲くかを聞きに来たんだ。ようやく見つかるんだ。やっと見つかるんだ。胸がドキドキし、自然に野ウサギの顔が浮かびます。「虹色の花は、そこに
「虹色の…花?」「そうだ。お前が探している花は、虹色の花だ。7枚の花びらを持つ花で、一枚一枚が赤、橙、黄、緑、青、藍、紫色をしている。その花を食べれば、どんな病気も怪我も治り、元気になると言われている。伝説だと言われているが、伝説でもなんで
穏やかだった村は、一瞬にして雰囲気が変わりました。我先にと逃げ出すものもいれば、石や棒や近くにあるものを投げつけるものもいました。おびただしい足音、罵声、叫び声に紛れて、家や窓の鍵を閉める音もカチャリッカチャリッと聞こえます。砂埃が舞います
白鬼は心配になりました。あの後、野ウサギに何かあったのだろうか。どうして山に来ないのだろう。もしかして、花が見つかったのだろうか。待っても待っても、野ウサギは姿を現しません。会えない日々が続き、胸が苦しくなりました。そばにいることが当たり前
いつものように花を探した帰り道。白鬼の肩に乗った野ウサギは、深く長いため息をつきます。「今日も見つからなかったね…」花が見つかったら、野ウサギとはもう会えなくなってしまう。だけど、花が見つからないことで野ウサギが悲しむことは、とても悲しく思
それから、毎日のように野ウサギは山にやってきました。晴れの日も雨の日も風の日も、二匹は花を探し続けました。野ウサギは、元気が出ないともだちのために。白鬼は、ともだちである野ウサギのために。野ウサギも白鬼も、毎日一生懸命でした。そんな二匹の様
日が暮れてきました。今日の花探しはおしまいです。白鬼は肩に野ウサギを乗せ、山を下りていきました。野ウサギの小さな足ではとてもとても長い道のりです。だけど白鬼の大きな足のおかげで、ずいぶん早くふもとに着くことができました。「送ってくれてありが
野ウサギはピョンピョン跳ねながら白鬼のすぐそばまでやって来ました。そして、ニコニコ笑いながら言いました。「僕、山のふもとから花を探しに来たんだ」「花?どんな花?」白鬼は首をかしげながら尋ねました。こんなに山の高い方まで来なくても、色々な花が