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2022年01月20日23:31

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映画日記『エッシャー通りの赤いポスト』

2022年1月20日(木)

『エッシャー通りの赤いポスト』(2021年)
監督:園子温
今池・名古屋シネマテーク

たとえば六甲山の中腹にある、高級でなくてもカジュアルなフレンチやイタリアンのレストランで、神戸の夜景を見下ろしながら、ワイン片手に料理と洒落た会話を楽しむ大人と、とりあえず生中で乾杯したあとは、山盛りの手羽先唐揚げをつまみに、1500円飲み放題だからと、日本酒、焼酎、安ウィスキーをチャンポン飲み、赤ら顔でまわりに絡み、愚痴り、怒り、泣いては場を白けさせ、はてはゲロまみれになり見捨てられ、気づけばひとり公園の芝生で寝そべっている、そんないい歳をした大人と比べれば、誰だって前者の大人がいいに決まってる。
でもね・・・・

気鋭の映画監督・小林正は、新作映画『仮面』のキャスト全員をオーディションで選ぶことにした
その募集告知のチラシを、小劇場の劇団員たち、小林監督のカルト信奉者たち、早死した夫にかわって役者の道に進もうとする切子(きりこ)、そして血染めの安子(やすこ)らが手にする。
誰もが映画への出演を機の、自分の未来を切り開こうと、エッシャー通りにある赤い郵便ポストに、祈るようにしてオーディションの応募用紙を投函した。
ところが、オーディションが始まるというのに、小林監督はいまだ完成しないシナリオに呻吟していた。
そんな監督の前に、元カノの方子(かたこ)があらわれる・・・・

始まってしばらく、何じゃこれ?!状態で面食らってしまった。
ほとんど、大学の映研が撮るようなチープな自主映画、ただただニヤニヤしながら見てたのだが、切子と安子が登場するあたりから、しだいに姿勢を正してスクリーンを見入ることになる。

「カメラはな、愛してる奴に向けんのよ」

何なんだ、1970年代の大学映研の飲み会でも言わないようなこのセリフは。

「エキストラでいいんだ、人生のエキストラで」

どうしたら、こんな気恥ずかしいことを、堂々と言えるんだよ!!
さらには、泣き、わめき、叫び、走る、名前も知らない役者たち。
青臭く、騒がしく、勢いだけのトンチキで、支離滅裂で無茶苦茶で・・・・もう、どうしようもない。
でもね、グッときちゃったんだよ!!


追記:「支離滅裂で無茶苦茶」と書いたが、じつは見事に伏線が回収される箇所がある。これは感心した。
併せて、「名前も知らない役者たち」と書いたが、ほんとうに名前を知らないだけのこと。
見終わって数時間経つが、いまでも顔や芝居を覚えている人たちがいる。
近い将来、彼らのなかの幾人かは、別の映画で見ることになるだろう。
また、そうあってほしいと願う。


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