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2020年05月28日22:01

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映画日記『もみの家』

マイミクさんの日記で、映画の舞台が生まれ故郷の富山と知り、さっそく見に行った。

2020年5月28日(木)

『もみの家』(2020年)
監督:坂本欣弘
伏見・ミリオン座

登校拒否のうえ、引きこもりになってしまった16歳の女子高生・彩花が、富山にある問題を抱えた若者を受け入れる施設、「もみの家」に入ることになる。
入った早々は、終始うつむいて、ブスッとしていた彩花だったが、「もみの家」での農作業や料理当番といった日課をこなすうちに、少しずつまわりに溶け込んでいく。
ひょんことから知りあった地元の老婆から気にかけてもらったり、地域の行事である獅子舞に参加するうちに、彩花はきちんと顔をあげて、他人やものごとに向き合うようにななっていく・・・・

田植え時期の初夏からはじまり、収穫の秋から雪降る冬、そして桜咲く春へと、季節の移り変わりをきちんと撮っている。
いまの日本映画には珍しく、時間をかけて、ていねいに撮っていたことに感心した。
ふだんは、はったりをかます外連味あふれる映画が好物だが、たまにはこういう素直な映画もいいものだ。

本作は女優・佐々木すみ江の遺作だった。
佐々木すみ江といえば、数年前に見た『ゴンドラ』(1987年)で、本作と同じように問題を抱えた女の子といっしょにお風呂に入る、田舎のおばちゃん役が忘れられない。
このとき、59歳の佐々木すみ江はためらうことなく全裸となって入浴シーンにのぞんだという。
孫ぐらいの子役の女の子にとって、目の前にいる裸の佐々木すみ江が、きっとお婆ちゃんの安らぎだった。
『もみの家』の彼女も、ヒロインの彩花をやさしく包み込む老婆役だ。
佐々木すみ江をネットで検索したら、劇団民藝の養成所第1期生で、同期に大滝秀治と奈良岡朋子がいた。
これまで、笠智衆をはじめ大滝秀治、北林谷栄、加藤嘉といった数多くの老優を、スクリーンの中で見てきた。
本日、佐々木すみ江の姿を見て、あらためておもう。
老優は、老優であるということだけで、尊敬に値する。

若い人も負けてはいない。
ヒロインの彩花を演じた南沙良という女優さんは、『幼な子われらに生まれ』(2017年)に出てた子か。
面倒くさい、こじらせ女子を演じたら、当代随一だ。
未見の『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(2018年)が無性に見たくなった。
もうひとり、ヤンキー娘を演じた中田青渚(なかたせいな)という若い女優さんが印象に残った。
このあとも新作映画があるようなので、注目したい。



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