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2020年04月08日23:58

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映画日記『娘は戦場で生まれた』

2020年4月8日(水)

『娘は戦場で生まれた』(2020年)
監督:ワアド・アルカティーブ エドワード・ワッツ
東新町・名演小劇場

2011年頃、いわゆる「アラブの春」の気運にのって、シリア最大の都市であったアレッポでは、アサド独裁政権に対し民主化を求める多くの市民や学生たちがたちあがった。
反体制側の勢いに、政府側は撤退することになり、アレッポの街は、つかのまの春を味わっていた。
その自由の空気の中で、当時女子大生だった本作の監督ワアド・アルカティーブは、ビデオ・ジャーナリストの道を歩みはじめる。
その後、アサド政権を支援するロシアが軍事介入し、政府側は攻勢に転じていった。
そんなさなか、ワアドは、医師のハムザと結婚し、ほどなく娘を授かる。
ふたりは娘に「空」を意味する「サマ」と名付けた。
空爆と市街戦が日常化したアレッポで、ワアドはカメラを片手に娘のサマを育てていくのだが・・・・

2012年から16年の間にアレッポで起きた出来事を、ワアド監督が撮った映像を中心に描いたドキュメンタリー映画。
見ながら、何度も涙が頬をつたう。
涙といっても『砂の器』や『ニュー・シネマ・パラダイス』のような、作劇の上で流す涙とは違う。
子どもたちの傷ましい亡骸を見れば、誰だって涙がでるだろう。
なんとかならないものかと思いながら、なんともならないことに暗澹となる。
何かできることがあるとしたら、スクリーンを直視することしかない。
直視した結果、自分が無知であることを痛感する。
アレッポがどこにあるのか知らない。
シリアが混乱していることは知ってたが、その混乱がいつから始まり、誰と誰が敵対し、混乱の原因が何だったのか、まったく知らなかった。
それ以上に、アレッポではどんな顔をした人たちが、どんな暮らしをしていたのか、想像すらしたことがなかった。
その一端を知ることができただけでも、本作を見る価値があった。


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