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2019年11月19日22:55

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映画日記 『殺さない彼と死なない彼女』

2019年11月19日(火)

『殺さない彼と死なない彼女』(2019年)
監督:小林啓一
名駅・ミッドランドスクエアシネマ2

「殺すぞ!」が口癖の男の子と、リストカット癖の女の子。
何度でも「好き!」と告白してるのに、まったく相手にしてくれない男の子のことが、やっぱり大好きな女の子。
幼なじみの女の子がふたり、ひとりは派手で可愛くて、でも男からは都合のいい女扱いしかされてない。
女子からはいちばんきらわれるタイプの彼女を、もうひとりの女の子は見捨てない。
とある高校に通う、女の子と男の子たちの3つの物語。

登場する女の子や男の子全員が、情緒不安定で面倒くさいタイプばかりだ。
昔の日活青春映画のような、明朗さが微塵もない。
こんなことでどうなるんだと、心配しながら見ているうちに、少しずつ映画の中の女の子と男の子たちひとりひとりが愛おしくなってくる。
のほほんとした中でエンドマークを迎えても、それはそれで青春映画の佳作になったはず。
ところが、話は「どうして?」という展開になり、それまでばらばらだった女の子と男の子たちが、ひとつの世界で生きていることがあきらかになる。

妙な感想になるが、本作を見ながら、夏に起きた「京都の事件」を思いだしていた。
本作が作られたのは、事件の前だろう。その意味では、この映画と事件とはまったく関係がない。
ただ、ある日突然、理不尽で不条理な死が襲いかかってくる、そんな時代に生きていることを、いやがおうでも、認めることになる。
そして、そんな時代であったとしても、生きていくしかない!
そんな決意が、この映画にはあった。

「未来の話をしましょう」

リフレインされるこのセリフに、残りの時間が限られてきた私でさえも、感じ入るものがあった。

小林啓一監督といえば、これまで無名に近い若い女優さんを魅力的に撮ってきた。
本作もこれまでと同様に、ボカシと逆光を巧みに使った撮影の中で、出てくる女優さんひとりひとりが輝いていた。

傑作。



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