白髪一雄の絵を初めてマジマジと見たのは開館して間もない国立現代美術館でボランティアの美術ガイドの人の説明を聞いた時。考えられないくらいの量の油絵の具がドバーッと乗ったキャンバス。「足で描いているんです」という説明にびっくり。
足で描く・・・そんな横着な・・・。これが具体美術教会との出会い。1枚でもスゴイ迫力なのにずらりと並んだらどうなるんだろうと楽しみにしていた展示会。意外だったのはこれほどのビッグネームなのに東京で初の本格的な個展なのだそう。
最初の部屋は「あれ!?」と思える普通の抽象画。初期の作品はおとなしい。それが描き直しなどでグチャグチャやっているうちに足で描くアクションペインティングに行き着いたのだそう。
次の部屋に入るとここまでするかの厚塗り、激しい動き、ほとばしる色。空間の中にただならぬ「気」。絵を描く彼の動きが感じられる。躍動感やエネルギーに巻き込まれる感じ。
「うすさま」1999 個人像
「遊墨 壱」1989年 東京オペラシティ アートギャラリー蔵
彼の絵は偶然に頼ってメチャメチャに描いているのではなくちゃんとエスキースがあるのには驚いた。制作風景のビデオはまず仏様に祈りを捧げてから始まる。何が描いてあるかわからなくても凄いモノは凄い。
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