美貌の四姉妹は
二杯目の紅茶にて
クッキーを摘まみながら、真剣に語り合っています。
「楊貴妃様
孤児だった私たちが
女盛りには こうして 、富貴な贅沢をして、最高級に暮らせたんですもの…
この❣もの凄い大出世を経験できた証
この❣豪華絢爛な最高峰の美を
現せたまま、死にたいです
」
「戦では…
美女は必ず 犯されたり 、生贄にされたりするけれど……
私たちは❣皇帝陛下に愛され
守られている、最高位の美女なのでから
」
🏵「そうよ
好きでもない、低俗の醜男なんかに犯されて、たまるもんですかぁ
」
「そうよ
私たちは孤児で貧しい娘だったけど…
愛のない、欲望だけのセックスには、凛として、拒否してきたんだし
愛のあるセックスと
結婚だけを選べた事を
女として❣誇りに思っているわ
」
三人の姉の本音を聞いた楊貴妃は、二杯目の紅茶を飲み干してから
最後の命令を告げるのでした。
「お姉さま方 いいですこと
犯されそうになったら、これを 呑み込みのです
」
楊貴妃は、金色の綺麗な箱を開けて見せると、赤紫色の小さな、丸い薬を
手のひらに乗せて
三人の姉たちに見せました。
「うわぁ〜綺麗ね
赤紫色に輝く宝石みたぁい。❣」
姉たちは、赤紫色の毒薬に、感嘆の声を上げました。
「これは、惨めに暴行されたり、辱しめを受けることなく、殉死するための
魔法の薬です。」
「ヒッ
」
姉たちは一瞬固まり、顔を見合わせました。
「楊貴妃様。
その毒薬は、苦しまずに、あの世へ行ける薬なのですか
」
「ええ、そうよ。
隆のために、霊薬を作っている侍薬剤師は
100年以上の長寿薬は作れなかったけど…
毒薬なら、沢山作って試しているから、これは実証済の毒薬よ。
吐いてもどす事もなく
あっけなく
静かに眠るように
美しく死ねる、魔法の薬です。」
そう言うと、楊貴妃は、三人の姉に
家族分の粒と、落として失くした時用の、倍の粒が入った、綺麗な小箱を、それぞれの姉に渡しました。
「楊貴妃様❣感謝します
」
「楊貴妃様❣ありがとうございます
」
「楊貴妃様❣ありがたくいただきます
」
三人の姉は、深くお辞儀して受け取ると
受け取った赤紫色の毒薬が入った、綺麗な小箱を、大事そうに巾着袋に入れて
持ち帰りました。
🎖玄宗皇帝が、実の息子よりも寵愛していた、安飛鳥(アン・ルーシャン)に裏切られて
巴蜀成都へ逃亡する事が決まった日に
数十年前に
遥々日本から海を渡り
中国の帝都に辿り着いて
楊貴妃に一目惚れしていた阿倍仲麻呂は
楊貴妃に近づきたい一心で、高官にまで出世していました。
この時
57歳の阿倍仲麻呂は、楊貴妃を助けたくて
一心不乱に考えた結果、やっと思い付いた作戦を、楊国忠首相に願い出ました。
「自分が、日本に帰国するという事を名目に
楊貴妃様の、お命を救うため
日本へ、亡命させるという作戦は、いかがでしょうかあ
」
「それは無理だ。
陛下は、死ぬまで、楊貴妃様と離れたくないとおっしゃっておられる。
離れ離れになるくらいなら、死んだほうがマシだとも……」
国忠の言葉に、楊貴妃を強く愛する
陛下の強い愛に打たれた阿倍仲麻呂は
楊貴妃様は永遠に
高嶺の花である
ということをつくづく、思い知らされ、恋心が打ちのめされたのでした。
阿倍仲麻呂は、楊玉環(楊貴妃)の
数奇な運命を 憂い
愛しい恋心に悶え
楊貴妃に触れることもなく
一心に慕うしかありませんでした。
つづく
⛩絶世の美女と言わせ続ける妖魔伝説
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