「陛下
報告します
アン・ルーシャンが捕虜にしていた、瀧口亮、ならびに、幹部の武将を、すべて処刑しました
それと、河東と華陽の防御史は逃亡し
憑翊の防御史とは連絡が取れず…
潼関の防御線も破られましたぁ
アン・ルーシャンは、生き残った朝廷軍の兵士らを、自分の信者に取り込み
大燕皇帝 と 名乗っておりまぁす
」
「何ぃー
飛鳥(ルーシャン)が自ら皇帝を名乗っておるとなあー
あいつめえーーー
」
玄宗皇帝(李隆法)は頭に血が昇り、ブチ切れて🦑その場で倒れてしまいました。
癇癪玉を爆発させた玄宗皇帝は、10日間の女体禁止と安静を侍医に処方されました。
楊貴妃だけを側につけた、老いさらばえてきた玄宗皇帝は、楊貴妃の小さな白い手を、シミとシワが増えた大きな両手で包むと
「楊貴妃よ。
死が二人を分かつまで、
朕と離れないと誓っておくれ。」
「隆。
私は、隆がこの世を去るまで離れませんわ。
隆は私の、運命の人ですもの。」
「ぉお楊貴妃よ。
よちよち
ほんにそなたは愛くるしいのう。
」
玄宗皇帝は、ベッドの布団に入って
座っている楊貴妃の綺麗な手を握って
セクシー美女の楊貴妃に看病されて
癒されていました。
そこに、高力士と国忠が、苦い鹿の血を持ってやって来て
最近飲めなくなっていた玄宗皇帝に、鹿の血とマムシの血を勧めました。
玄宗皇帝は仕方なく、温めた不味い鹿とマムシの生血を飲みました。
「陛下
アン・ルーシャンが皇帝の名を名乗っている以上
これは、
一国による侵攻と同じ事であます
」
高力士が感情的に言いました。
「ふむ。
それで…これからは、龍星に国事を任せようと思うが…
高力士はどう思うか
」
「陛下
天下の大事を龍星殿下に譲るのは反対です
そのような事は、なんとしてでも、お引き留めせねばなりますまい
」
「しかし、とにもかくにも
一刻も早く、天下を落ち着かせねばならんのじゃ。
民が暮らす世の中というモノは
いついかなるときも、穏やかでなくてはならん。
戦場になるのは
遥か遠い、辺境の地だけで十分だ……
天才たちが多く住む、各国の芸術家が集まる花の都が、戦場になってはならんのだ
」
「陛下。
ですが、帝都長安の民たちは、店を閉め、旅の身支度をし、都から 脱出しております。」
国忠が高力士の横で言いました。
「はあ〜
そうであったか……
こんなことになってしまうとは……」
「陛下
こうなった以上
一刻も早く、 脱出することが先決です。」
「……逃げると言っても……
一体……どこへ行けばいいのじゃ
」
「巴蜀がよろしいかと思います。
体制を建て直し、関中(中国北部)を奪回しましょう
」
「数万もの役人と、その家族が脱出するなど
そんなことが可能だと
なぜそう思うのだ
国忠よ
ちゃんと説明してみろ
」
玄宗皇帝は、ベッドの布団の中で座したまま、しゃがれた声で国忠に言いました。
「軽装で 出発します。
蜀への 道は険しいですので、 全員は不可能ですが
民に不安を抱かせない為に
一切外部には漏らしません。
表向きは、御親征です。
もう猶予はありません。
陛下
ご決断を
」
玄宗皇帝は、頭をゆっくり振って、長くなった白い顎髭を触りながら
とうとう、国忠の進言を聞き入れると
玄宗皇帝は 、疲労困憊した様子で、楊貴妃に甘えた仕草をして
ベッドにまた横たえました。
楊貴妃は、横になった玄宗皇帝を労わるように、掛け布団を肩までちゃんとかけてあげてから
玄宗皇帝を、銀菊と小柳に任せる命令をした後
国忠と高力士と、一緒に部屋から出て行きました。
覚悟した表情になっている楊貴妃は、部屋の出入り口で待機している家令の潤一に、
花花夫人と、長安の楊府邸宅に居る、玉枝と玉葉の、三人の姉を、直ぐに呼ぶように命令しました。
🏵豪華な馬車の中から、
優雅に着飾っている玉枝と玉葉は、駕籠の御簾を開けて、街の様子を眺めながら移動していると、
美女二人の目には、それはそれは、おぞましい風景となって見えておりました。
長安の民たちが、大きな風呂敷を背負った旅支度になっていて、走ったり急ぎ足で脱出している姿や……
商店の食料や物品を盗んだりしている、泥棒同士での奪い合いの喧嘩や暴動が起きており
親や雇い主に捨てられた子供が、親や雇い主の名前を泣きながら呼んでいたり
大人たちに邪魔者扱いされている迷子の子供が、地面に座って泣き叫んでいたり
李隆法(玄宗皇帝)の采配決断の失敗を、楊国忠首相のせいだと思い込まされている民たちが
「楊国忠を殺せ
」
「楊国忠を殺せ
」
「楊国忠を殺せ
」
「楊国忠を殺せ
」
「楊国忠を殺せ
」
と言う、
白いハチマキを頭に巻いた、民兵の青年たちが
シュプレヒコールの射的を、アン・ルーシャンから、
いつの間にか楊国忠に変えている様子を
目の当たりにした、玉枝と玉葉は
恐怖で震え上がりながら、楊貴妃の元へと駆け付けたのでした。
🏵四姉妹は挨拶の後
本音で語り合いました。
🏵「楊貴妃様 飛鳥(ルーシャン)のこと、ショックですわね。」
玉葉が言いました。
「飛鳥の方が、陛下よりも 、役者が一枚上だったと言うことね。
陛下を、あんなデレデレに寵愛させておいて、こんなふうに手のひらを返すんだから
大した 大物 の大燕皇帝だわ。」
玉枝が言いました。
花花夫人もチョコレートをつまんで
珈琲を飲んで
気を落ち着かせると本音を言いました。
「飛鳥(ルーシャン)の美しい顔は
英雄と言う、美丈夫の皮を被った妖魔(妖蛇)でしたね
あんなに
陛下と楊貴妃様に寵愛されておきながら
気に食わない事が起きたら⚔
こんなふうにメチャクチャにして 、豹変しちゃうんだもの( ̄^ ̄)」
「飛鳥(ルーシャン)が、大燕皇帝に豹変しちゃたお陰で
都では、商店や お金持ちの屋敷に 泥棒や強盗が入り 、暴動になっています
それと…
飛鳥(ルーシャン)への批判の シュプレヒコールが
いつの間にか、国忠さんへの批判のシュプレヒコールのデモ行進に豹変しているなんて
陛下の采配と決断の失敗を、国忠さんにすべてかぶせるなんて……
酷過ぎるわ
(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
」
玉枝が感情的に言いました。
そこへ
潤一と健が、二杯目の紅茶と、ピーナッツ クッキーを 持ってきました。
美味しいクッキーをつまんで、温かい紅茶が喉を通ると
少し落ち着いた姉たちは、それぞれ
🏵
楊貴妃に御礼を言いました。
「私たち、楊一族が、幸せを手にできたのは、全て楊貴妃様のお力でございます。」
🏵「これまでの、恵まれた、帝都長安での生活は、まるで、夢のようでした。」
「貧しい庶民出の私たちが 、錦の衣装と、金銀パールや
あらゆる最高級の宝石を身につけられて、
宮中への出入りを許されるようになったのは、
楊貴妃様の、愛と美の悟りのお力だと、心から感謝しております。」
🏵「これまでの、夢のような 、贅沢な暮らしは 、幻だったよう に感じます 。」
「夢なら醒めないで欲しいけど…
美貌が、陰り出す年頃になってきた私たちには…
そろそろ、魔法が効かなくなったようです。」
楊貴妃は冷静に、姉たちの 話を聞いてから、ポツリと呟きました。
楊貴妃の言葉に、花花夫人も冷静な声で
「きっと ……
夢も、美貌も、魔法も、華やかな 宴と、同じようなものかもしれませんね。」
楊貴妃と花花夫人の言葉に玉枝は
「どうせ、全ては、夢の中の宴ならば
好いた男と、快楽の限りを尽くして
最も愛する男と心中して
あの世へは
最も愛しい男と一緒に行きたいわ
」
玉枝の本音に玉葉は
🏵「でも、可愛がってた女形芸人の燕たちは 、どこかの街へ流れて行っちゃったしね。」
玉枝の本音に花花夫人は、最も愛しい
国忠と健の側にいられるだけ、自分は幸せなんだ
と心の中で思いました
「魔法が効かなくなってしまったのなら……
楊家の終わりが、せめて
地球の歴史の中に
艶やかで雅な、愛と美が、美しく残るようにしましょう
大唐帝国の今
この世の時代に私たちが生きた証としての
愛と美の栄華を
この世に残こす事としましょう
」
楊貴妃は、オーラを強くして
熱く語り始めました。
つづく
⛩絶世の美女と言わせ続ける妖魔伝説
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