寝室のベランダから、夜空に浮かぶ北斗七星を眺めながら
飛鳥(ルーシャン)
の事を考えていると
青龍(後の恵果和尚で今は妖術使いの美少年)が、蔓をつたって楊貴妃に会いに来ました。
「うふっ
星の王子さまかと思ったわ。」
「楊貴妃さま❣会いたかったです
」
「私もよ
青ちゃんの19歳の誕生パーティー以来、どこにも出かけられなくなってしまったんですもの……」
二人は無数の星に見守られて
抱き合いました
身も心も蕩け合った二人は、愛液と汗を拭き合うと、枕元にあるドリンクを飲みました。
裸のままベッドの上で
二人寄り添って
「洛陽と陝郡も飛鳥(ルーシャン)の部隊に陥落されましたね。」
「ええ、飛鳥のせいで、朝廷軍は撤退しなければならなくなって…
陛下は、その責任を河邑司に問い…
結局、河邑将軍を処刑してしまったわ。」
「また、漢人の将軍を処刑したんですね
玄宗皇帝は、自分の決断の失敗を、将軍や役人など周りのせいにして、その責任を
人の命を使って煙に巻いてますね
」
「仕方ないわ。皇帝なんですもの。
国の最高権力者は、自分の夢を叶える為に、命を懸けて動いてくれる、熱烈で忠実な働き蜂となる奴隷を必要としているのだから…」
「そうですね。利用価値があるうちは権利を与えて重要するが、不要になれば切り捨てるまでですね
」
「その内、飛鳥は、皇帝を名乗ることになるわ…」
楊貴妃は、遠くを見つめる目をして、言いました。
青龍は、美しすぎる楊貴妃の横顔を見つめながら、楊貴妃の吸い付くような
白い美肌に頬をくっつけて甘えて抱きつくと
「楊貴妃さま
高力士が洛陽で囲っている
陛下の妃だった梅ですが……
屋敷の井戸に身を投げたそうです。」
「身を投げてから、梅はどうなったの?」
「梅は、陛下の妃だったということで、軍人たちに犯されて殺される前に
自殺という形で、国に殉じたようです。」
楊貴妃は ショックを隠せない表情になりました。
「怖いわ……」
「楊貴妃さまは、僕が守ります
」
青龍はくびれた楊貴妃の美体を、抱きしめて言いました。
「青ちゃん
何もかも忘れてしまえるくらい
私を強く愛して
」
瞬く星が輝くこの夜
楊貴妃は、16才歳下の愛人と朝まで
溶け合いました。
次の日
「楊貴妃さま。家令の健から聞いたのですが、
陛下は御親征を考えてるそうですね
」
「ええ、そんなの下々にやらせておけばいいものを。
杖をついてる白髪のおじいちゃんが、風雨に耐えられないだけじゃなく
鎧姿で、馬に乗ることさえもできやしないわっ。
うふふふ。」
「オホホホ、それもそうですね。
あんな重い鎧は、陛下には着れやしませんわよね。ホォッホホホホホ。」
「龍星皇太子が国政を代行する為に、隆に御親征をけし掛けたみたいよ。
だって、隆が出陣すれば、朝廷の中心は東宮になるんですもの。
花花夫人は、楊家を憎む者がどれだけいると思う?」
「……姉たちが大手を振って街を歩く事で、太子派と民衆の怒りを買っているし……
太子たちから愛する妻を横取りしたり、別れさせたりする父親の陛下を
太子派は、憎まないはずはないですもんね
ましてや、陛下に寵愛されている妃である私たちを、陛下の妃たちも
憎まないはずはないですよね……」
「そうよ。陛下の御親征の話は
龍星皇太子と、李瑁殿下(楊貴妃の最初の夫)が組んで、陛下に吹き込んだと
お兄ちゃんが言ってたわ。」
「やっぱりそうなんですね
陛下は、将軍や朝廷のお役人と
息子である太子たちを
権力を使って
好き勝手にして、傷付けてきたんですものね
」
「朝廷と太子派たちの間で
私と飛鳥(ルーシャン)の駆け落ちの噂も、囁かれているみたいだし……」
「楊貴妃さまは、あんなに愛した飛鳥(ルーシャン)に、未練は無いのですか
」
「……もう、飛鳥も私も、若くなくなったんだし……
飛鳥と私の
一番美しい時の
一期一会
を、愛し愛された深いecstasyを
飛鳥も私も
永遠に忘れることはないわ……」
飛鳥(ルーシャン)とライバルだった、胡人の将軍
瀧口亮に
「陛下は、御親征の計画を取り止め
帝都で、反乱平定の指揮を執る事になった。
よって、瀧口将軍は、潼関で、防衛指揮を引き継ぐようにとの仰せの事。
陛下の期待に応えて、潼関を守り 都の安全を守ってくれ。」
国忠は瀧口亮将軍にそう伝えました。
「ぁあ〜はい。
期待に応えられるよう、最後の砦を守ります
」
拍子抜けした瀧口将軍が、馬で砦に戻ると、部下の
王思玲が
「 軍から不満が 上がっていますので
ご報告と思いまして。
安飛鳥(アン・ルーシャン)大将軍の挙兵の名目は、
楊国忠と楊貴妃の討伐です
現在の混乱を招いたのは、皇帝陛下を唆した楊貴妃によるもの
よって!
陛下と楊国忠を、虜にして狂わせた楊貴妃の責任だと思います
ですから
精鋭の兵を、楊国忠と楊貴妃の討伐に、向かわせてはいかがか
呉楚七国の乱を鎮圧するため、政治家のチョウソを 殺したように
⚔
それで、
先ずは、楊国忠を、潼関に連行して殺すのも 手かと
瀧口将軍
楊国忠殺害は、この王思玲が引き受けます
」
「 待て…そんなことをすれば、謀反人が安飛鳥(アン・ルーシャン)ではなく
この瀧口亮になってしまうでないか
そんな勝手は許さん
」
瀧口亮は、部下の要望を突っぱねました。
飛鳥のせいで監禁状態になった後、
後宮から潼関に、引っ越さなければならなくなった楊貴妃は
飛鳥の長男に嫁いだ親友の紅蘭とも、会えなくさせられるほど…
飛鳥の
愛の復讐は
壮絶になってゆくのでした。
⚔
つづく
⛩絶世の美女と言わせ続ける妖魔伝説
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