18970331 NO5045 宮廷録事•施政任免一束•雑件
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012_0030_0060 駐韓日本公使館記録 12巻 参. 本省往復報告 (6) [宮廷録事•施政任免一束•雑件]
文書題目 (6) [宮廷録事•施政任免一束•雑件]
文書番号 報告第二四号,発 第四八号(京城領事),発 第四九号(仁川領事),発 第五○号(釜山領事),発 第五一号(元山領事)
発信日 明治三十年三月三十一日 ( 1897年 03月 31日 )
発信者 加藤 弁理公使
受信者 大隈 外務大臣
(6) [宮廷録事•施政任免一束•雑件]
報告第二四号,発 第四八号(京城領事),発 第四九号(仁川領事),発 第五○号(釜山領事),発 第五一号(元山領事)
宮廷録事
曩きに金・議政（＊金炳始）は封事（ポンサ ＊国王に贈る上書）を上げ論争した結果、陛下におかれては、去る三月十六日夜において議政、参政、各部大臣を御前に召され親しく新旧の制度を参酌（참작 ＊斟酌、熟考）し、安全な法典を創制せよ」と伝えられ、同時に次の詔書を公にせられた。詔して曰く、
今日政府の諸臣を召見しすでに教え諭したことがある。およそ百余りの政務のなかのまだ実効が現れていないものは、思うに、官制が多く変更され、規則がなお不便であるためにである。君臣上下いやしくもよく精励し治を図る意思があるならば、国勢の危うさ、民情の慌ただしさがどうして甚だしい事になるであろうか。これは政にとって引き締め盛んにする一機会なり。今より別に一つの機関を設け、新旧の典式諸般の法規を折衷し、一通を作成して、人員を議定し別に選んで入奏せよ。
そしてまた三月十八日には災民を心配するとの詔書を公にされた。その全文を訳すと、
詔して曰く
「いちど匪徒の騒乱があった後哀れなことに朕の百姓たちがばらばらになりその所在を知ることが出来ないのは驚くべきことだ。特に火に焼かれた家戸が非常に多く、これを思うときには朕も平安ではない。守宰（＊地方長官）たちが思った通りにすべての力を尽くして撫恤（ぶじゅつ ＊あわれみいつくしむこと）したならば、一人の人間でも住む場所をていれることができないはずがあろうか。特別に銭四千元を下賜するので内部（＊政府機関の一つ）で各道から報告することを詳細に調査して等級を定めさせて分配し、昨年関北(咸鏡道)で水害を被った民家もまたこのように救恤金を支給し、百姓たちの実情を見ることで心を痛めてこれを保護する朕の気持ちを見せるようにせよ。また各道の道臣と該当地方官たちに十分に 相談して特別に救恤し、それぞれが平安に生きる方途を用意してやるようにせよ。」
施政
一. 従来施行してきた郵便規則を改正し、去る十五日勅令第十六号で発布した。その主な件は、京城内の郵送賃二銭を半減して一銭となし、また集配時間を増加するなどである。
一. 今回王宮護衛のため、親衛隊中より五個中隊を選抜し侍衛大隊を編制した。そして参領・張基溓がこの大隊長に任じられた(詳細は機密信に載せる)。
一. 前項掲載した去る十六日発布の大詔に、「所謂一所（＊一機関）を設け新旧の典式、諸般の法規を一つにまとめ揚げ種類ごとに集めて一通とし、これを遵守することを基礎とする、云々」にあるところに基づき、今回南・内部大臣は奏請することがあった。そして去る二十三日をもって校典所と称する制度取調所を創設されることとなり、同日、金（＊金炳始）・議政と趙・鄭の両特進官はその総裁に、金・朴・尹の三贊政及び李・外部大臣はその副総裁に、李善得、具体、柏卓安、徐載弼の四顧問はその委員に命じられた。そしてその場所を中枢院内に設置された。
任免一束
一. 去る十一日において議政府贊政・尹用求、掌礼院卿・金宗漢は依願免官となりいずれも即日宮内府持進官、勅任三等に敍せられた。
一. 宮内府大臣・李載純は去る十三日をもって弘文館侍講を兼任した。
一. 外部主事・李��は欧洲六国駐箚の公使館三等参書官に任じられた。
一. 高等裁判所長兼攝の韓・法部大臣は、去る二十五日その職を解き、権・法部協弁がその後を継いだが間もなく二十七日をもってこれを辞した。
一. さきに欧洲六国駐箚の公使館参書官を辞した三品・金基龍は、去る二十六日法部民事局長に任じられた。
一. 軍部大臣を兼職していた閔・公使は、欧洲出発に臨み、その後任として沈・度支部大臣署理を命じられた。
雑件
一. 今回米国において開設される万国郵便会議に出席のため、韓廷はさきに閔商鎬をその全権委員に命じていたのだが、去る二十二日改めて現任駐米公使・李範晋を一等全権委員、閔商鎬を二等全権委員に命じた。また閣氏（＊閣泳煥）は去る十八日に当地を出発した。
一. 欧洲六国の全権公使・閣泳煥は、去る二十四日参書官・李��、書記生・金秉玉、金祚鉉、孫炳均及び外部雇露人・ラウテンフエルド氏を帯同し出発せり。そしてその実弟である学部協弁・閣泳瓚は同時にその職を辞してこれに同伴した。この一行は去る二十九日に上海に下向していた尹致昊と共に汽船ウラジミル号に搭乗し芝罘（チーフ―）へ向け出発した。ちなみに記すと、同氏は出発に当たってほとんどの家財を売り尽したとの事で、急になにか下心があってそうするのだろうとの風説が起った。
一. 本官の御親任状、並びに前公使の解任状は、去る二十二日午後二時国分・通訳官並びに小池・交際官試補を従え慶運宮へ参内して捧呈したのだが、陛下は特に御機嫌麗しく優握な勅語を賜った。(詳細は別報告に載せる)。
一. 建陽元年中当国三港（＊仁川、釜山、元山）の海関税総額は六十九万一千七百八十四円三十六銭であり、これを詳述すると、
・仁川では
輸入税二十五万一千五百七十三円八十銭、
輸出税七万六千四百五十二円五十四銭、
入港船舶税七千四百八十三円五十銭、
合計三十三万五千五百九円八十四銭。
・釜山では、
輸入税十二万八千二百六十七円五十五銭、
輸出税十三万三千二百六十九円八十一銭、
入港船舶税八千十一円二十五銭、
合計二十六万九千五百四十八円六十二銭。
・元山では、
輸入税六万八千二百九十五円八十一銭、
輸出税二万六千六百二十円拾銭、
入港船舶税一千八百十円、
合計八万六千七百二十五円九十一銭
である。
一. 京仁鉄道起工式はいよいよ去る二十二日をとし、仁川より京城街道へ一里程先のところ起点とし、同鉄道管理人・タウンセント氏がその式を挙行した。米国公使館書記官・アーレン氏及び漢城判尹・李采淵などがこれに臨んだ。
一. 国書捧呈のため来京した北京駐箚英国公使・マクドナルド氏は、夫人、書記官、秘書官等を随え去る二十四日に到着。同二十六日に陛下に謁見、国書を捧呈し、さらに二十九日午後御暇乞いのため参内、謁を受けて、同三十一日当地を出発し帰任した。同一行は往復とも英国巡洋艦・ナシサス号に搭乗した。
一. 真殿営建役費五万円は去る二十三日に国葬費増額、五万円は去る二十五日に度支部の奏請によって預備金中より支出する事に裁可があった。
一. このほど帰朝した本邦派遣特命全権大使・参書官・金声遠は直ちに参内、陛下に面会し、我が両陛下（＊天皇・皇后）の優渥な勅語を賜った事、並びに本邦における待遇が鄭重であった事を奏上したところ、陛下には非常に御満足に思召されたとのこと、同官より内話があった。
一. 本官新任披露のため、
去る二十六日には守備隊並び電信部将校一同、
二十七日には韓廷各部大臣・協弁等、
二十九日には各国公使及領事並び夫人、
三十日には各国公使領事館員、
本日は朝鮮政府顧問官、同雇外国人並び夫人を晩食に招待し、
明一日には外国宣�鎧嬖造喇弯佑鯣媚舛法�
来る三日には帝国公使領事館員並び公使館付陸海軍武官、我が朝鮮の顧問補佐官、郵便局員、居留民総代並び龍山居留民総代、居留民会議員、商業会議所議員、学校�鎧奸⊃景控�者並び通信員等一同を招待し、午後より園游会を開く予定である(詳細は別報告に載せる)。
一. 当館の山吉書記生は日韓人間の私交を温めるため南山吟社と称する文学協会を創立し、去る二十一日から開始したが、同氏がその社長に公撰された。
一. 還宮の慶兆として先に種々の特典を施された事は前報告に記載して置いたが、その結果、去年の十二月漢城裁判所闖入（ちんにゅう）に関連して刑に処せられた流一年の中隊長・韓鳳鎬、流終身の兵卒・黄致純、安允成、徐完成は、去る八日一等を減ぜられ、次いで十六日において韓鳳鎬は特赦、その他はすべて十五年に減刑された。また流一年の前漢城裁判所検事・崔文鉉は十八日に一等を減ぜられ赦免となった。
また昨冬十一月、還宮並びに不軌（＊謀反）事件に関係して刑に処せられていた流七年の李容鎬、張允善、並びび流十年の韓善会、金思燦、李根鎔は、去る十五日済州に移される事となり、来月一日利運社の汽船に搭乗して配所に赴くとのこと。
また昨夏六月、当路大臣を弾劾し流三年に処せられていた前進士・鄭惺愚は、去る十八日一等を減し二年半に、本年二月一日即ち除夕（＊除夜）の夜半宮門を守衛し金鴻陸の入闕を拒んだため流十五年に処せられていた前正尉・柳東根は去る二十四日一等を減ぜられた。
一. 前報告に記載して置いた朴仁煥の封事（＊国王への上書文）使嗾者（＊扇動者）として、定州の観察使・李容翊氏はさきに高等裁判所に引致され今なお留置中であるが、この程中枢院一等議官に転じた。そして宋廷燮（ソンジョンソプ）というものもまた同事件に関係があるということで一旦高等裁判所に召喚されていたが、審問の上すぐに帰宅を許された。しかし朴仁煥はまだ罪人として縛られてはいないと言う。
一. 前法部民事局長・李明翔は在職中、昨年の秋に起ったかの紅蔘事件の被告人・李根培から賄賂を受け取り事実を偽ってかばった事が暴露し、今回捕縛され、法部主事・鄭万�格造啜榮睇楴膸�・張駿遠もまた同事件に関係があるということで捕縛された。
以上具報に及びます。 敬具
三十年三月三十一日
加藤 弁理公使
大隈 外務大臣 宛
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