18970224 NO4892 御身上担保の儀について韓帝へ内奏及び勅答の件
한국사데이터베이스 (history.go.kr)
011_0040_0150 駐韓日本公使館記録 11巻 四. 加藤公使時代極秘書類 (15) 御身上担保の儀について韓帝へ内奏及び勅答の件
文書題目 (15) 御身上担保の儀について韓帝へ内奏及び勅答の件
文書番号 機密(必親展)
発信日 明治三十年二月二十四日 ( 1897年 02月 24日 )
発信者 加藤 弁理公使
受信者 西 外務大臣
(15) 御身上担保（＊保証）の儀について韓帝へ内奏及び勅答の件
機密(必親展)
本件に関しては既に電報で詳細を具申致しておりますので、それ以上のご説明は必要ないだろうと思いますが、念のためなお次にその顛末をご報告しておきます。
そもそも日本は韓皇室に対し少しも悪意を持つことはなく、熱心にその安寧隆盛を希望していることは、これまで幾度となく本官の自ら韓帝に内奏したところであり、かつて前任大臣より機密第七十一号をもって御訓示の件などはもともと御来示を煩わすまでも無く、折に触れ常に内奏を怠らなかったことでありますが、残念ながら日本は過去においてしばしば過激な手段をとったかのような痕跡を残しており、なかでも王妃崩御事変のような残忍無比の事件に遭遇なさった末の事であるので、陛下の疑念はまた容易に氷解していない。
また他の方面からこれを言う時は、いやしくも君寵を求めようと欲する者、露国の勢力に頼って現在の地位を維持したいと欲する者、すべて皆この疑念を利用しないものはなく、またさらにこれを助長しない者はいない。
曰く「日本は亡命者を保護し他日これを擁して何かを為そうとしているのだ」。曰く「義和宮を助けて廃立を謀るつもりだ」。曰く「李�沛亜淵ぅ献絅縫腑鵝 �「父は大韓帝国皇帝高宗の兄の李載冕。興宣大院君の嫡長孫」）を推し時機を待って日英がこれを擁立するのだろう」など。則ちその主な口実にして一つとして陛下に不利でないものはない。
したがって内においては、閔泳綺（ミンヨンギ）、兪箕煥（ユギファン）など憂国の士が切に弊政の改革を訴えあわせて日韓提携の必要を説く者がいて、国家の利害からこれを見る時はもっとも見易い道理であるから忽ちこれに同意されるとはいえ、退いて感情の本心に立ち戻られる時はまたたちまち疑いの霧に消され、密かに悪事を働く小役人を召して専ら復讎あるいは亡命者の始末にのみ苦心焦慮されて、政務はできるだけ体よくこれを放っておく有様があります。
思うに王妃崩御事変以降、陛下は神経が極めて過敏に変じ、事毎に一身の安否を顧慮され、ややもすれは国家を犧牲にしてでも先ず一身の安泰を貪ろうとするかのような意図があることを漏れ聞くに至っている。これは思うに一国の君主としてはもとより美徳と称すことはできないのだが、しかしながら幾多の凶変に遭遇し死生の間に置かれている人の人情としてこれを見る時は、決して無理ではないことで、寧ろ大いに同情を表せざるとえないことである。
思うに露国は陛下をこの窮境より救出しその生命を保証し今でもこれを保護する恩人である。政事上の干渉、圧迫など厭うべきことは厭わなければならないが、既に一身の保身を先にし、政事を後にしておられる陛下の決心からこれを言う時は、その厭うべきことはこれを忍ぶとしても、どうして容易にその保護から離れることに耐えることができるだろうか。ましてや今日国民が挙って陛下が露に身を投じられたことを恨んでいる時においては。陛下の現状はあたかも国民の怨恨に出会って自ら無保護の地位に投ぜられるような次第であるからである。
本官が韓国に対する時は、常に日本帝国の威信を尊重し、厳然と立ち、泰然と構えて、去就はひとえに韓国の選ぶ所に任せ、表面上全く、露を離れ日本に頼ることを勧誘するような言動をなしたことはないとはいえ、内実本官が日夜憂慮した所のものは真にこの一点に外ならなかった。
何故かというと、政府の大臣・協弁たちの多くは露公使の手足となり、宮闕の侍衛は露国士官・下士官の統率する所となり、韓帝の左右もまた露党でもってこれを囲繞し、これに加えるに、露公使及びその通弁は日夜自由に宮闕に出入しているので、韓帝の進退、即ち韓国の進退は真にその意の如くにはならず、何時いかなる政変を作り出すかも計り難いという懸念があるからである。
そうではあるが、本官の陛下に対する忠誠無二の精神は、遂に陛下に貫徹し、韓国の大臣中ほとんど一人も本官の右に出るものがないまでの信愛を得たので、この上はむしろ打ち明けて韓帝御父子の保護を請け合い、それによってその決心を促す外には他策はないと考え、密かに好機会の到来を待っていたところ、ちょうど旧臘（＊昨年十二月）英国艦隊来仁の事があり、日英が同盟して李�沛亜淵ぁΕ献絅縫腑鵝砲鰺蔑�するらしいとの風説があった。
韓国政界の上下は大いに恐慌を来していたので、本官はその機を失はず、国政改良を促すと同時に、御父子の保護を担保したのだが、予想通りこれが陛下の意に的中し、初めて年来の疑念を除き、露を離れることに決心し、その結果遂に今回陛下より「危難があるときには我が身を保護されたい」との依頼状を本官に交付されることに内定致した次第であります。
その趣旨は本月（＊先月か）二十七日閔泳綺（ミンヨンギ）・安駉寿（アンギョンス）より内密に相談がありました。直言すれはばこれはほとんど児戯に類するようなものでありますが、現状での手段はこれを他にしてはないので、本官だけの責任に任じこれを承諾することに覚悟し、念のため同日第十号をもってその趣旨を電稟に及んだのでした。
しかしながら後に至ってなおじっくり熟考を加えましたところ、尽心保護と言うときは去る十七年竹添公使に宛てた日使来衛と同じくその意味がすこぶる広く、非常に必要な場合に当っては兵を動かすことをも意味される心配がなくはないので、依頼状の儀はむしろ不穏当と認められましたのでこれを止め、本官より書面にて「韓帝御父子の御身上の危難があるときには予めそのきざしを防ぎ、決してなにも危難の恐れがないよう尽力する」との意を内奏し、また陛下よりこれに対し感謝の勅答を遣わされるように改めて協議致し、その旨第十一号をもって電稟に及んでおきました通りであり、第八号をもって種々御注意の次第もあり、御懸念の安□（＊不明）もっともと存じ置きました。
以上は前述の通り、韓帝の決心を促す一手段に供する外に他意はないことなので、その辺は全く御懸念のありませんように願います。その後貴電別紙甲・乙号の通り内奏に及び勅答の授受を終了いたしましたところ、本官の内奏書は著しく陛下に好感触を与え、陛下は親しく本官に感謝の意を致されたい旨御希望とのことその筋より内報がありましたので、たまたま大院君妃薨去の吊詞を奏上する機会を利用し、二月九日参内謁見致しましたところ、想像どおり陛下は自らその左右を退け大要次の御沙汰がありました。
陛下は「卿（＊加藤を指す）が内密に送って奏書は、朕が親しくこれを接閲し、深くその懇切なる厚意を感謝する。思うに朕が答翰もまた必ず卿はこれを接収していることであろう。今や日韓両国の交誼は一層敦睦を加えていると思われる。これは卿が昼宵勤勉にその職に当り、誠心を注いで国際の事に従事した結果である。朕もまたこれによって大いに国内外の形勢を考えるところがあった。日韓提携が急務であることを認める。今後相互方針を一つにして共に力を注げばその效果を収めることは疑いないところである、云々」
また勅答中、末頃に「嗣後 ＊後継ぎか」云々とあり、実際このような事件があるに当っては、無論国際問題となるような事であり、この依頼の有無はなんら関係を生じないことではありますが、平常やや重大なる国際問題ある時に当って本官が一々その内議に関与する便宜がありますので、これはそのまま受領致して置いたのであります。この件別紙甲・乙号を添え具申に及びます。 敬具
三十年二月二十四日
加藤 弁理公使
西 外務大臣 殿
[別紙 甲号]
文書題目 韓国皇帝ヘ内奏案(用紙写の子銀四封紙加藤自書)
韓国皇帝ヘ内奏案(用紙写の子銀四封紙 加藤自書)
大韓国大皇帝陛下及皇太子殿下常深慮其意外之変本使已承旨意忠愛之間不勝恐惶大日本国与大韓国益厚兄弟親睦之誼深望大韓国皇室之安寧而大皇帝陛下及皇太子殿下玉体上若有危難及亡命者之售謀無論何時本使尽心設力預防其微無至危難之境矣勿為深慮焉以此確言謹奏
明治三十一年一月三十一日
大日本弁理公使 加藤増雄 印
大韓国 大皇帝陛下
〈＊私訳〉
韓国皇帝陛下に対する内奏案
大韓国大皇帝陛下と皇太子殿下が常にその意外な変乱に心配なさることを本使はすでにその意味を理解していますが、忠愛の間に恐怖と慌忙（忙しくて慌てふためくこと）に耐えられません。大日本国と大韓国は兄弟と変わらない親睦の誼をさらに厚くして、大韓国皇室の安寧を深く願っています。皇帝陛下と皇太子殿下の玉体にもし危難があったり、渡日亡命者たちの謀略がある場合は、もちろんいつでも本使は心から努力してあらかじめその気配を防ぎ、危難の状況に至らないようにしますので心配しないでください。これを確言し謹奏致します。
1898年 1月 31日
大日本 辨理公使 加藤�疝佐碓�
大韓国 大皇帝陛下
[別紙 乙号]
文書題目 韓国皇帝陛下よりの回諭写
韓国皇帝陛下よりの回諭写
大韓国大皇帝回諭于大日本弁理公使加藤増雄
日韓両国講好有素輔車之託固知不渝而恐或孽芽其間丙枕多時為念刻接密奏言已懃懇事且周全諒由貴使務篤友誼之至意朕庸嘉尚特此泐覆深望貴使久駐弊邦益殫心力克図有終嗣後遇有外国妨我自主権利貴使必随機設略俾免他格外侵損以副朕之厚望
二年二月一日
大韓光武国璽印
〈＊私訳〉
韓国皇帝陛下よりの回諭 写
大韓国大皇帝は大日本辨理公使・加藤�疝困鵬麝，垢襦�
日韓両国の講好はもともと互いに助け合い委託することは変わりがないことを朕はよく知っている。ところがこれまで私に恵まれないことがあり、今後に永く心配があった時に、丁寧な密奏を受け、また、すべての事をご了承して手配してくれるという貴公使の厚い友情の意味を朕は褒め称える。したがって特にこれに回諭し、貴公使は末永く我が国に滞在することを願って、このようにさらに心力を尽くして計画したことが実現することを願う。以後、外国が私たちの自主的権利を侵害することがある場合は、貴公使は随機設略して予想外の侵略を免れるようにして朕の厚い期待に応えるように。
光武2年（1898）2月1日
大韓光武国璽印
ログインしてコメントを確認・投稿する