18960123 NO3326 四個大隊増設と借款要請、及び暴徒情況と開港条款締結の件
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駐韓日本公使館記録 7巻 五. . .. .. 機密通常和文電報往復 一•二 第2冊 (38) [四個大隊増設と借款要請、及び暴徒情況と開港条款締結の件]
文書題目 (38) [四個大隊増設と借款要請、及び暴徒情況と開港条款締結の件]
文書番号
発信日 一月二十三日 ( 1896年 01月 23日 )
発信者 小村 （＊小村寿太郎・駐韓弁理公使）
受信者 外務大臣 （＊西園寺公望 外務大臣）
(38) [四個大隊増設と借款要請、及び暴徒情況と開港条款締結の件]
一月二十三日
小村
外務大臣
朝鮮政府は本年度において四個大隊を増設して地方に配置し、また士官百名を養成する計画である。その傭聘（ヨウヘイ ＊雇い入れ）�外�の員数は確かに必要欠くべからざるものである。また朝鮮政府は万事を差し置いてもこの計画を実行する決心であるので、やむを得ない場合は前年度の剰余金百九万円のうちから傭員の俸給に充てるつもりである。
○ 朝鮮政府は本年度及び来年度における経費の不足を補充するため、三百万円とほかに京仁（＊京城・仁川）間鉄道建設費二百万円、都合五百万円を我が政府より借り入れたいと本官に申し込んでいる。委細は郵便で。
○ 江原道春川（カンウオンド・チュンチョン）府に暴徒が起り、観察使・警務使などを追い払い官庁を奪っている。この暴徒の原因は断髮問題にあって、政府は新任観察使が赴任に当り「兵隊を付けて断髮を強制せよ」との妄想を起したことが原因だと言う。春川府は閔泳駿（ミンヨンジュン）父子の住所で、これに属する閔族が多いことも暴徒発生に関係しており、（＊閔族は）むしろ政府のため鎮定に尽力しているようだ。現に閔泳駿は上京して金宏集を訪ね説諭解散の方法を説き、政府もその説を容れ、新観察使を至急赴任させ説諭させる予定であるので、多分兵力を用いるまでに至らず鎮定するだろう。
○ 江原道原州（ウオンジュ）の暴徒はその過半は解散し、その一部およそ四百名は忠清道堤川（チュンチョンド・チェチョン ＊原州の南東）の方角に向っている。政府は明日一中隊を発し、原州、堤川を経て忠州（チュンジュ ＊原州の南）付近において、先に忠清道に示威のため行軍中の一中隊と会し、慶尚道安東（キョンサンド・アンドン）方面における暴徒の勢力を視察し、やはりその勢いが盛んである場合は二個中隊を合せて安東に向わせ、そうでない場合もその中一個中隊は安東まで示威行軍させることに決定した。
今回各所に蜂起している暴徒は、勿論将来これらの暴徒を鎮圧するには専ら当国の兵力を用い、一切他国の兵力を借らないことを本官より懇々と当国政府に勧告したのでその筋においても断じてこの方針を執るべきだと決心している。
今日金宏集（キムホンジプ）が来館したのだが、断髮令の結果、政府は断髮を強制するもののように往々地方民に誤解させ、このように各所に暴徒を誘起することになったのは誠に痛嘆に堪えない次第であるので、政府は是非ともこの際勅諭を乞い、断髮を強制するつもりではないことを明らかにし、これと同時に内部大臣は地方官に訓令を与えて断髮をするかどうかは一に各自の便宜に頼ることとの意味をもって、地方民をなるべく誤解を避けさせることに努めることが目下の急務であると勧告したのだが同氏もこれに同意した。多分今明日中に勅諭・訓令とも発布されるだろう。
○ 開港の事は過日の御電訓により開談したところ、朝鮮政府は最初「勅令開港論」を主張したのだが数回の談判の末「訂約（＊条約締結）」する事に同意させた。しかしながら朝鮮政府は本官の提出案に対し次の修正を申し込んできた。
一. 平壌（ピョンヤン）開市の項を削る事
一. 鎮南浦（チンナンポ ＊現「南浦」）を旗津浦（キジンポ）に代える事
特別居留地のことは朝鮮政府が各国使臣の抗議とイギリス・韓国条約に抵触するおそれがあることをおそれ容易にまとまる見込みはない。イギリス・ドイツ領事などの意向を探ったが断固反対の模様である。
＊旗津浦（キジンポ ＊「旗津浦ハ龍岡縣ニ屬シ、本縣ヲ距ル十里、水路平壤ヲ距ル十四里、鐵島へ二里弱、南浦へ七里、漁隱洞へ十一里トス。而シテ陸路ハ江ヲ渡リ黃海道黃州へ四里、中和へ七里トス」）
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