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2020年02月09日18:37

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惑星ソラリスfeat.バッハ↑↓アリなし映画評



【惑星ソラリスfeat.バッハ↑↓アリなし映画評】



ロシアSF映画「アトラクション-制圧-」見たときから気になってた。

30年以上前に見た「惑星ソラリス」

正直いろいろ忘れているからまた見た。




「惑星ソラリス」
ソ連 1972
監督・脚本:アンドレイ・タルコフスキー
出演:ドナタス・バニオニス(心理学者クリス・ケルヴィン)
ナタリア・ボンダルチュク(クリスの亡くなった前妻ケリー)
ウラジスラフ・ドヴォルジェツキー(宇宙飛行士アンリ・バートン)
アナトリー・ソロニーツィン(天体生物学者サルトリウス博士)
ユーリー・ヤルヴェト(サイバネティックス学者スナウト博士)
ソス・サルキシャン(物理学者ギバリャン博士)


惑星ソラリス_01/07
https://www.youtube.com/watch?v=czUUOKIepYc&list=PLC3fHRCo94sfHu7VWO_Br5XzQb7REo68H
※02、03…07と続きます。


本動画は、「東宝から発売された『名作・ソビエト映画』吹替版VHS」によるもののようで、
冒頭にオリジナルにないクリスのナレーションによる「惑星ソラリス」の説明があるので、
ソラリスがどういうところかが解る。


■惑星ソラリスの説明(クリス・ケルヴィンのナレーション)(01/07)
プラズマ状の海に包まれた地球よりやや大きい
惑星ソラリスは、発見されて100年以上も経ち
そして数十年に及ぶソラリス研究者達の接触にも拘わらず
その実態が論証されぬまま、資料だけが
図書室の本棚を埋め尽くしていた。

ソラリスの海は思考力を持った怪物であり
惑星の殆ど全体を覆っているプラズマ状の海は
ひとつの脳であって、その脳はこの世に存在する
全ての物の本質について思いもよらない程の
洞察力を持っていることが解っていた。

(聞き取ったものですので間違えはご容赦ください)



数世紀にわたるソラリス研究もなかなか成果が現れないうちに、ソラリスの軌道上にある宇宙ステーション「プロメテウス」との通信が途切れてしまい、その調査・解決のために心理学者クリス・ケルヴィンが派遣される。
派遣される前日に、宇宙飛行士バートンがかつて行なった、ソラリスの怪現象の証言ビデオをクリスに見せにくるのだが、
この吹替版の動画では、証言ビデオの部分のみで実際のクリスとバートンのやりとりや、バートンの帰路の近未来をイメージした、有名な「東京の首都高速道路」を走行するシーンがカットされているのは残念だ。



■カットされた「東京の首都高速道路」を走行するシーン
Tokyo Expressway 1971 from "Solaris" 1971年の首都高速車載カメラ HD(昭和46年の日本)
https://www.youtube.com/watch?v=3KGIrhUJlMM


カットされた他の前半部分は字幕版の↓ココで見れますが、
後編は見つかりませんでした。
全編見るならば、ソラリスに着くまでは下の字幕版を見て、ソラリスに着いてからは上の吹き替え版を見てください。


1_1=rsj__惑星ソラリス 前編 ロシア語
https://www.youtube.com/watch?v=PrQJMKNI-Ms





■詳しいあらすじは記しませんが、ネタバレ・解説は↓コチラを参照してください。

映画は終わりが肝心(2)「惑星ソラリス」-野口悠紀雄
https://note.com/yukionoguchi/n/nd80f532b3369

惑星ソラリス-ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%83%91%E6%98%9F%E3%82%BD%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%82%B9



簡単にいうと、ソラリスの海は、人間の潜在意識の奥底を探り、それを物質化・具現化した人物を「プロメテウス」に送り込んでくる。それも潜在意識のうち「人間の良心」にフォーカスするので、人には見せたくない不都合な人物が現れ出たりもする。
クリスの場合は、10年前に自殺したハリーだった。
妻の自殺に自責の念を抱いているクリスの良心が生み出したものだった。


クリスとハリーのやり取りの場面では、
バッハの「コラール・プレリュード『イエスよ、わたしは主の名を呼ぶ』(BWV 639)」
が効果的に使われている。


タルコフスキーの重厚で繊細で甘美な映像は、ソラリスではこの音楽でさらに効果を増していると思う。



■映画中のものではないですが、バッハの「コラール・プレリュード『イエスよ、わたしは主の名を呼ぶ』(BWV 639)」
われ汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ BWV639-瀬尾千絵
https://www.youtube.com/watch?v=qUPc5icnLYM&t=37s




ところで、この映画でググっと突き刺さったのは

『人間は形の無いものも愛せる』

という概念!

下がそれを説明する場面


■クリス・ケルヴィン独白(07/07冒頭)
同情心が人間から生気を奪い去ると言うが本当かもしれない。
苦しむと生活が暗くなり、認めたくない、いや認めるものか、生活に不必要なものは有害だと決め付けていいものだろうか?いや毒ではない。
もちろんそんな訳はない。
トルストイを見るが良い。彼は人類を愛することが出来ないと言って悩み苦しみ続けた。
あれから何がどう変わったというのだ?どう考えても解らない。
助けてくれ。
私は愛している。しかし愛情というものは感ずることは出来ても、説明することは出来ないものだ。
愛とは不思議なものだ。
失われるかも知れないものを愛する。たとえ無駄だと解っていても。
自分とか女とか祖国とかを。
人類や地球は愛情の手の届かないものであった。
私が言っているのは人間の良心の問題なのだ。
解るか君に、スナウト?人間はたかだか何十億しかいない。僅かな数だ。
もしかすると我々がここにいるのは、人間を愛するというのは何かを初めて実感するためかも知れない。

(聞き取ったものですので間違えはご容赦ください)



トルストイの一節はちょっと違和感があったが、
原作者のスタニスワフ・レムがこの映画について「タルコフスキーが作ったのはソラリスではなくて罪と罰だった」と語っていたらしいので納得。
トルストイよりはドストエフスキー的な作品だろう。


ここでは掲載外ですが、ついでに言えば「ヒロシマ」への言及は配慮が足らなかったようだ。


全体の印象としては、やはりバッハの旋律に
クリスとケリーの甘く切なく後悔と苦悩に満ちた映像が溶けあい
ケリー役のナタリア・ボンダルチュクの美しさが
SFめいた(SFだが)不思議な空間を無効化しているようだった。






勿論この映画ーー


↑↑↑

アリー\(^O^)/


……当然ですよね……



https://atelier108.ocnk.net/data/atelier108/image/solaris-1.jpg

https://atelier108.ocnk.net/data/atelier108/image/solaris-2.jpg

https://atelier108.ocnk.net/data/atelier108/image/solaris-3.jpg
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