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2019年12月15日11:05

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よい依存、悪い依存 渡辺 登







よい依存、悪い依存

もたれあって生きている
支えあって生きている


渡辺 登


朝日選書

依存は、それほど悪い行為なのだろうか。・・・・・努力を重ねてもこまった事態が解決できなければ、他人や組織の手助けを求める。・・・・・こうした依存は、恥ずかしい行為でも、禁止されるべき行為でもない。・・・・・精神医学の立場から語れば、依存は人間が生まれつき持っている、心の安心や肉体の満足を求める行為である。・・・・・わたしたちは、組織や他人との関係に依存しなくては、生き延びることは不可能である。・・・・・自立とは、周囲の人々に支えられながらも、自分の行動を支配されず、主体的に決められることなのである。(本文より)

よい依存、/悪い依存・目 次

まえがき

依存とは何か/

 依存とは、他人や組織に愛情や支持、保護、援助を求め、それがなくては生きていけない状態と世間では呼んでいる。依存は未熟な子どもだけが行い、発達にともない大人になれば自立するのが当然であると思われている。なぜなら依存の原点は、空腹のために泣き叫ぶ赤ん坊が、母親に優しく抱きしめられておっぱいを与えられる関係にあるからだ。
 無力な子供たちならば、依存は許される。しかし成長してからもなお、他人や組織に支援を求めれば「いつまでも甘えないで、自分でやりなさい。いくつになったの」と非難される。頼りすぎて遠慮のない人と嫌われたり、逆に頼られすぎて迷惑を感じた人も少なくないだろう。こうした経験は、依存を悪と決めつけ、自立した生き方を尊重する、現代の風潮でもある。
 その一方、大人でも窮地を救ってもらえて感謝したり、友だちと支え合って困難を乗り切り感動を共有したりすることがある。依存すべき時に、ためらってしまい孤立感を覚えたこともあるかもしれない。依存は、多くの人々の意識の中で矛盾を含んだまま整理されずに置かれているだろう。矛盾は不安を呼び起こす。ー依存はよいのか、悪いのか。成長すれば、依存をやめて自立しなければならないのか。
 ところで依存は、それほど悪い行為なのだろうか。たとえば時間がせまっているのに用事が進んでいない、経済的に苦しい、病気で悩んでいる時など、私たちは確かに頼るだろう。努力を重ねてもこまった事態が解決できなければ、他人や組織の手助けを求める。逆にこまった人がいれば、手をさしのべる。こうした依存は、恥ずかしい行為でも、禁止されるべき行為でもない。
 とりわけ、わが国では所属する組織の中で自分の持ち味や能力、個性を発揮するために、人とのほどよい依存関係が保たれている。支え支えられる依存である。もちつもたれつを拒めば、「お互い様じゃないか。水臭いなあ。他人行儀だよ」と文句が出る。
 「人」という字は、人と人が支え合っていることを意味すると指摘されたことがある。人は支配することなく、束縛されることなく、関わりの中で自分の生き方を示そうと試みる。
 依存は否定されるべきではない。精神医学の立場から語れば、依存は人間が生まれつきもっている、心の安心や肉体の満足を求める行為である。赤ん坊であれ、学生であれ、主婦であれ、職員であれ、経営者であれ、私たちは組織や他人との関係に依存しなくては生き延びることは不可能である。依存を悪いものと決めつけられない。
 他人と支え合いながら、自分の将来を主体的に選ぶことができる人物として他人から尊敬されることで、自分の行動の起点を自分の中に置ける。周囲の人々に支えられながらも、自分の行動を支配されず、主体的に決められることが自立である。

悪い依存とよい依存

 私たちは、底知れぬさびしさに耐えきれなくなった時、人にしがみつきたくなる。身内から安心を受けとれず、安心の乏しいにとに、しがみつく依存は認められやすい。彼らの多くは、幼児期に母親との心理的な呼吸あわせがうまくいなず、自分を見守ってくれる母親のイメージをこころのなかにつくりそこなっていた。
 この依存では、相手の立場を考えない。自分の安心のために、どのように相手を利用するかを密かに計算している。自分のことを誰よりも優先する。相手を思いやるような態度も、そうすることで見返りをたくらんでいる。母親の世話焼きする姿勢は、ひょっとすると、この依存かもしれない。
 他人を思うように動かすことで自分に安心を与えようと試みても、その望みが満たされないこともある。あるいは他人との駆け引きが苦手な人も多い。そこで身近な行為に頼って、安心を手にしようと考える。長男はインターネットに、父親は仕事に依存することで快感を得て、そのことによって不快な感情を招く現実から目をそらしていたのだろう。
 人との駆け引きや行為を続けるのが面倒な人にとって、アルコールやドラッグ、大量の食事などを体内にとりこめば、たちまち快感を手にすることができる。安心の乏しい人は、それらを体内に取り入れた時の快感が忘れられなくなり、その手段に頼りきってしまう。長女のむちゃ喰い依存が、その例である。
 さびしさを癒す適切な手段をとれば、ほっとした気持ちになれるだろう。ところが他人を操作して安心を手にしようとする自分本位のしがみつきでは、本当の安心は得られない。あるいはインターネットや仕事に夢中になったり、むちゃ喰いをしても、束の間の快感を覚えるだけである。
 こうした依存こそ「悪い依存」と呼んでいいだろう。一方、先に述べた支え合う依存は「よい依存」であろう。依存を、よい依存と悪い依存に分ければ、どこが違うのか。いろいろな悪い依存は、どのような経緯で起こってくるのか。
 それらの疑問を解く鍵は、どうやら家族関係で展開する安心が握っているようだ。くわしくは本文で検討を加えてみたい。

今、依存を考える

こころの病気には、中枢神経系での神経伝達物質の乱れを主な原因として生じる精神分裂病や以前には躁うつ病と呼ばれていた気分障害がある。これらの病気は向精神薬の新たな開発や遺伝子工学の発展によって、やがては治る病気となるだろう。
 一方、依存症はどうだろうか。依存症とは、依存をやめなくてはならないのに、やめられない病態を呼ぶ。生き延びるために依存を続けてきたものの、依存したために健康や対人関係をそこなったり、経済的な困窮を招いた。そこで依存をあきらめなくてはならない。ところが、依存を放棄できない。頼ることで手に入れた、その場限りの快感を失うことに耐えきれないからである。
 この依存症に関する精神医学的研究や理解は遅れている。精神科医の多くは、アルコールやドラッグなどの依存症以外の対人関係やプロセスで見られる依存症をまだ認めていない。むしろ、アルコール医療にかかわるケースワーカーや臨床心理士、保健婦たちが、アルコール依存症者やその家族の全体像を把握するのに役立つとして、依存症の概念をひろげて使っている。
 そのうえ、アルコール依存症の治療法でさえも十分に確立されておらず、治療を進めている医療施設も限られている。こうした現状を踏まえれば、依存症は今後、精神医学が取り組むべきもっとも重要なこころの病気になると考えられる。
 本書は、よい依存と悪い依存の違いを明らかにしようと思い執筆を始めた。奨励を紹介しながら、対人関係やプロセス、アルコールなど三種類の依存がなぜ悪いのかを、依存が成熟していく過程をもとに説明した。ついで、アルコールなどの依存症からの回復過程や他の依存症からの回復過程についても言及してみた。最後に、依存についてささやかな自説を展開した。読者自身の依存について、振り返るきっかけとなれば幸いである。 
 なお紹介した症例は、すでに専門誌などで報告したものも含まれている。それらの人物や団体は存在しない。参考にした患者さんはいても、プライバシー保護のため本人とわからないよう内容に修整を加えてある。


第1章 対人関係依存

1節 依存性人格障害

金品を与え対人関係を保とうとする
 くり返された利他的従属

依存する女性


人格障害とは
 人格障害委の三群
A群(妄想性・分裂病質・分裂病型)人格障害 思慮分別に乏しいため、奇異で風変わりな印象を与える。
B群(反社会性・境界生・演技生・自己愛生)人格障害 感情的で衝動的、自己中心的な行動が多く、社会への迷惑など考えない。自分の行動に苦痛を覚えないことが多い。
C群(回避性・依存性・強迫性)人格障害 考え方や行動に悩み、患者として病院を受診することが時にある。

依存性人格障害とは
自立を勧められたことがない
手厚い保護と過剰な制限
守ってくれる人をさがす
他人まかせの人生

依存性人格障害の診断
 診断基準
□ 日常のことを決めるのに他人から、多くの助言と大丈夫との保証を欲しがる。
□ 生活の殆どで他人に責任を取ってもらうことを必要とする。
□ 指示されない、認められない事への恐れから、他人の意見にをいえない。
□ 判断や能力に自身がないので、計画を立てたり、実行するのをためらう。
□ 他人から愛情や支持を得るためなら、不快なことまで進んでやってしまう。
□ 身の回りのことを自分ではできないとひどく心配するので、ひとりになると不安、あるいは無力感を抱く。
□ 親しい人との関係が終わった時は、自分を支えてくれるつぎの人を必死に探す。
□ 世話されずに放り出されるという恐れに支配される。

2節 世話型依存

つまづきから立ち上がるには/繭の時期を経て飛び立つ

世話女房と教育ママ

3節 組織への依存

危機状況で登場する介入舎/介入する理由/対人的敏感さを生む原因と破綻

4節 成熟する依存

発達段階ごとの依存/対等な立場での支え合い/よい依存とは発達段階にふさわしい依存/自立とはさせ愛ながらも主体的に行動すること/悪い依存とは

第2章 プロセス依存

1節 買い物依存

さびしさを癒すための買い物/イメルダの靴/やめられない理由

2節 仕事依存

うつ病を招いた働きすぎ
仕事依存とは
 〇超隼間が多い
仕事が生きがい
休養がとれない

A型行動パターンと仕事依存
 A型行動パターン
□ 攻撃的である。
□ 競争心が強い。
□ 周囲からの高い評価や昇進を望む。
□ 多くの互いに関連の乏しい仕事へ常に没頭し、その結果いつも締め切りに負われる。
□ 自分の精神的・肉体的活動の速さを常に高めようとする。
□ 精神的・肉体的に著しく過敏である。
 仕事依存症に見られる問題点
  個人的因子 心身の疲労やストレスを蓄積し、一方で休養やストレス発散などに割け        る時間が少ない。
  家族的因子 コミュニケーションの時間が絶対的に少なく、家庭より仕事を重視する。
  仕事的因子 視野がかたより、余裕を欠く。





過労死が怒るしくみ
職場依存
現実から職場への逃避

3節 オタク的依存

孤高を保つオタク的依存/信頼しても裏切られる/ひとり遊びに熱中する/お宅の意味/自分だけの世界

4節 プロセス依存とは

第3章

1節 物質依存とは

悪い依存の精神医学的歴史
物質依存の登場
 物質関連障害(Substance-related disorders)
1物質使用障害 
a物質依存
b物質乱用

2物質性誘発性障害
a物質中毒
b物質離脱
c物質性せん妄
d物質誘発性持続せん妄
e物質誘発性誘発性持続性健忘
f物質誘発性精神病障害
g物質誘発性気分障害
h物質誘発性不安障害
i物質誘発性機能障害
j物質誘発性睡眠障害

*物質依存の診断基準
□耐性の形成:酩酊または希望の効果を得るため著しく増大した量の物質を要する、または同量の持続使用により著しく効果が減弱する。
□離脱症状の発現:物質特有な離脱症候群が見られること、もしくは離脱症状を軽減ないし回避する目的で同じ物質(または密接に関連した物質)を摂取する。
□その物質を初めの心積もりより大量に、またはより長期間しばしば使用する。
□物質使用を中止または制限しようとする持続的な欲求または努力の不成功となる事実。
□その物質を得るために必要な活動(物質探索行動)、もしくは物質使用


物質乱用の診断基準
















物質依存に陥る要因と段階

2節 物質依存になるしくみ

快楽を与える報酬系がこころを支配する/物質依存を起こすメカニズム

第4章 いろいろな依存

1節 アルコール依存

酒による酔い/酒による不安の解消/アルコール依存症とは/アルコール依存症への道/連続飲酒発作

2節 タバコ依存

条件付けられた状況と快感/乳首がわりのタバコの吸い口/脳に快感を与える

3節 むちゃ喰い依存

過食のいろいろ/食事制限が招く過食と拒食/むちゃ喰いが怒る経過/むちゃ喰い依存とは

4節 覚醒剤依存

ドラッグに依存した理由/ドラッグが与えたもの/覚醒剤をうたれて依存に/不幸な運命をたどる覚醒剤/第二次覚醒剤乱用期/第三次覚醒剤乱用期/覚醒剤のはたらくしくみ/覚醒剤による症状/再燃現象と精神分裂病の病院解明

5節 有機溶剤依存

有機溶剤依存症の末期症状/有機溶剤乱用の歴史/有機溶剤の中枢作用/有機溶剤を吸引して起こる精神症状

6節 大麻依存

大麻の種類/大麻による効果

8節 コカイン依存

もっとも常習しやすいコカイン/コカインの作用するしくみ/コカインによる精神症状

第5章 依存症からの回復

1節 回復への導入

底つき体験/依存症と認めたくない

2節 回復の過程

3節 個人精神療法の役割と限界

失った足と見失った将来/片足で主治医とともに歩む/個人精神療法の限界

4節 自助グループへの参加

表現と共同体/共同体への参加

5節 非物質依存症からの回復

機能体と共同体/共同体への参加

あとがきに代えて

三種類の悪い依存の関連と共通点/コントロール障害/精神科医のとまどいと将来

参考文献
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