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2020年06月30日18:21

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永田町は旧ソ連か? 河井前法相が「KGB」と呼ばれた理由

■稲田検事総長、退任へ=後任は林検事長
(時事通信社 - 06月30日 11:31)
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永田町は旧ソ連か? 河井前法相が「KGB」と呼ばれた理由

           
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                 河井前法相

 国会の本会議場で、よく見受けられた光景があるという。公職選挙法違反(買収)容疑事件で逮捕された前法相の河井克行容疑者(57)の疑惑が浮上するずっと以前のことだ。彼が国会の本会議場など、議員たちが雑談している場に現れると、誰もがよそよそしい顔つきになり、すーっとその場を離れていたというのだ。この奇妙な風景の意味を、河井前法相をよく知るベテラン議員はこう解説する。

 「河井がやっていたことはKGBと同じだから」

 KGBとはご存知の通り、旧ソ連の国家保安委員会。西側諸国で諜報活動をしていたことで知られる。では、河井前法相はなぜKGBと揶揄されるのだろうか。

 1996年の総選挙で初当選した当時、河井前法相は目立たない政治家だった。政治家になったのに政策に関心がなく、存在感は薄い。法案づくりや政策論議で活躍することもないのに、その後、異例の抜擢で首相補佐官に就任。しかし、知人の国会議員にこんな頼みごとをしている。

「自分が何をしているのか、地元の支持者に教えてやってほしい」。

 そこでこの知人の議員が広島の会場に行ってみると、地元選出の国会議員は誰もいなかったという。会場では、河井前法相が首相補佐官として外遊した際などに撮影した、海外の要人との写真を集めたパンフレットが用意されていた。要人と何を語ったのか、外遊や会談についての説明はなかった。

 では、そんな政治家がなぜ出世できたのか。ここにKGBと揶揄される理由が関係する。
河井前法相がはっきり変身したのは、故鳩山邦夫元総務相への接近がきっかけだったという。鳩山氏は説明するまでもなく、国会議員のなかでナンバーワンの資産家である。

 河井前法相は鳩山氏が主宰する政治集団「きさらぎ会」の中心メンバーになった。一方の鳩山氏は2010年から12年にかけ、離党した自民党への再々復帰を狙っていた。河井前法相はそんな鳩山氏を助けながら、同氏の豊富な資金力の恩恵に浴していたという。

 鳩山氏は年に2度ほど、きさらぎ会メンバーを事務所に呼んで、餅代や氷代として政治資金を支援していた。その時、必ずと言っていいほど、河井前法相が同席していたという。関係筋は、「みなカネのにおいがする方向に引き寄せられる。河井はその力をうまく利用していた」と語る。

 そして、きさらぎ会は徐々に安倍応援団の性格を強くしていった。河井前法相はこの会合をテコに、安倍晋三首相や菅義偉官房長官に接近。両氏も、きさらぎ会の会合に顔を出したことがある。

 そして、河井前法相が安倍首相や菅官房長官に接近するために使ったもう一つの手段があった。彼を知る議員は、「河井がやっていたことはKGBと同じだった。政治家や官僚、マスコミの間で安倍や菅の悪口を言っている奴がいると、それをご注進することで、権力に近づいた」と語る。

 つまり、陰口を密告すること。権力者は誰が自分の批判をしているかを気にしたがるものである。彼はそこを巧みに利用して、安倍首相・菅官房長官に取り入り、重宝されるようになった。彼が現れると、国会議員たちがすーっとその場を離れるのも、何を密告されるかわからないため、首相の側近となった彼を恐れていたのだ。

 河井前法相をよく知る政界関係者はこう言う。

 「人間誰だって、悪人になる可能性を持って生まれてくる。あいつ(河井前法相)の場合、自分の意思と環境のせいで、悪人になってしまった」。

 自分の意思とは出世欲、目立ちたいという気持ちだ。英語があまり上手でもないのに、海外出張に出たがった。競争の激しい永田町で生き抜く方法として選んだのが、「カネと権力を持っている人間にくっつく。それも裏口から入って接近する」(同前)というやり方だった。政治家同士の会合や密告など、手段を選ばなかった。

 また、その手段を許す環境が永田町にはあった。前出の関係者は「河井は永田町のダーティーな部分を泳いできた。カネや権力が幅を利かせる永田町の文化がなければ、あんな風にはならなかった」と語る。河井前法相に限らず、永田町では権力にすり寄るために、一部の記者がオフレコの記者懇談会のメモをこっそり提供するなど「密告行為」を手段として悪用する者はこれまでもいた。

 アメリカなど諸外国の反応も散々だった。外交筋の1人は河井前法相についてこう呆れる。

 「政策について関心がないというか不勉強。それでいて、後で会談の内容がゆがめられてリークされる。自然と、河井との会談を避ける空気が生まれていった」。河井前法相は徐々に孤立し、今回の事件を引き起こした。

 しかし、本当の悪人は誰かという話になると、ある政界関係者はこう言う。

 「あいつ(河井)は小悪人。みんな、あいつが悪い奴だとわかっていたから。だから警戒されもした。でも、本当の悪党は善人の顔をしているんだぜ」

 在京の外交筋も同様の話をする。

 「自分の国の外交官も同じだ。本当にタチが悪いのは、他の人が悪人だとわからない悪人だ。同僚たちのなかで、普段はまじめでごく普通の外交官がいた。しかし、あるとき、上司に同僚の悪口を言いふらしている事実を知った。この人物は家庭でも良き父、良き夫だった。

 きっと、ウソや密告をゲームのように考えているんだろう。それで出世したり、カネを儲けたりすることが何で悪いんだ、と思っている。こういう連中には近づかないのが一番だが、普段善人面しているから始末が悪いんだよ」と苦笑いした。

 河井前法相が現金を配りまくった相手は皆、異口同音に受け取りを認め、かつ「返そうと思ったが、忙しくて取り紛れた」「何度も断ったが、無理やりにポケットに入れられた」と証言している。しかし、この話を現役の警察官僚にすると、一般論としてだが、「みんな、嘘ですよ」と、笑うのだ。

 「忙しくても、返す気持ちがあるなら、自分の家族なり秘書にでも頼んで突き返せばよい。受け取っていないと言ったら、容疑を否認することになる。証拠隠滅の恐れもでてきて逮捕されるじゃないですか」

 「通常、お金を受け取った連中はしょっちゅう『あいつが認めた』などと連絡を取り合い、もう逃げ切れないとなると、一斉に認める。警察もそんなに大量の政治家を逮捕できないだろうという計算も働いているのです」

 政界の関係者たちによると、河井前法相を「便利使い」していた連中もまた、永田町に残っている。河井前法相の口利きで資金援助の恩恵を受けた者、情報を収集してもらった者たちを法律違反に問うことは難しいだろう。

 欲をかいた小者は罰せられるが、利用した連中は罪に問われることはない。こんな話を聞いているうちに思い出したのは、往年の名画、黒澤明監督の映画「悪い奴ほどよく眠る」だったことは言うまでもない。


※記事元: Forbes JAPAN 牧野 愛博より


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