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2019年12月03日18:11

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ゆるキャン△、ローカル女子の遠吠え。読み手に想像させる隠されたコラボとは・・・さすが老舗出版社

私は東海地方に疎い人間なので、そもそも「ローカル女子の遠吠え」を読むまで、日本という国の象徴とさえいえる「富士山」をめぐって、静岡県民と山梨県民(関東ですが)がかなりガチで火花をちらし続けていることなんて、ちっとも知りませんでした。

でも「ローカル女子の遠吠え」にすっかりはまってしまって、静岡県という横に長い県が、各地域ごとにあまりにまとまりがなく、でも「結局それかい!」なオチに事欠かないことを知り、個性あふれるムダ知識を楽しめるようになりました。


一方、山梨側の「ゆるキャン△」なんですが、実はもともと私、年齢的にも女子高校生が主役のマンガって、たぶん感性がついていけないだろうなあ、という先入観があり、かなりの確率で「守備範囲外」としてるんですよ。
だから「ゆるキャン△」というマンガの存在も、それがヒットしているということも全然知りませんでしたし、もし知っていても、「ふうん、そうなんだ」で済ませていたと思います。


ところが、ですよ奥さん。

「ゆるキャン△」の作家さんが「水曜どうでしょう」の大ファンで、ディレクターのお二人と対談した縁でコラボをする、というのを水曜どうでしょう祭り経由で知ってねえ、わたしゃ驚きましたよ。


もちろん私は水曜どうでしょうファンですが(日本語として変だけど、心意気としては間違ってない)、でもかつてのマイナー・ローカル時代とは違って、すでに伝説的番組としての地位を占めていて、業界内でも「ファン」を自認する人は多く、できれば一緒に仕事しませんか的な話には事欠かないはず。
お金だって使おうと思えば湯水のように使えるってD陣本人が言ってましたし。

にもかかわらず、どう考えても水に油(リアルなおっさん四名とアニメの女子高校生たち)のコラボってなんなん?! と思って、まずはアニメを見たんですよ。

そしたらまあ、いやいや、驚いたのなんの。驚きました。

可愛らしいデザインのいわゆる「今、現在受けそうな」絵柄のかわいらしい女の子たちが出てきますが、その描写というか、作りかた? ちゅうんですか? これ、まさにかつて藤村ディレクターたちが「水曜どうでしょう」で切り開いて、いろんなテレビ番組などがフォロワーとなって、しかし言うは易し行うは難し、で成功例のごく少ない手法じゃないですか。

つまり、「なんでもないことをやるんだけれども、そのプロセスを拾っていく中で、面白い切り取り方をしてつなげて、いつのまにか観るものを引き込んでいく」というもの。

これ、ほんとなかなか出来ることじゃないと思いますし、事実、藤村DがYouTubeで「俺は絶対女性高校生が主役のマンガを読むようなタイプじゃないんだけど、読んでみたらこれはホントによく出来てる」と絶賛していましたから、私の単なる私見じゃなく、この作品が現実にやりおおせている、つまり難関を突破していることに間違いないんでしょう。(藤村Dには娘さんがいますから、その視点から見ても、というのはかなりすごいことですよね)

後で知りましたが、水曜どうでしょうファンが番組を見て深夜バスやサイコロの旅をやるようになったように、ゆるキャン△ファンも、アウトドアって面白そう、って感じでやってみる人が増えてるそうですね。

さもありなん。

実際アウトドアって身体の負担とか、自然の加減でつらいことも多いんだけど、それって実は、隠れた楽しみのひとつになるんですよね。
いい旅館でいい飯食っていい湯に入るばかりが「楽しさ」じゃない。
原付き運転して寒い思いして道に迷って、それでもカップラーメンの温かさが身にしみるのも、やっぱり「楽しさ」。
別にそれをやったからどうだってことないのに、豪雨に見舞われタイヤがパンクしながらも、なんとかベトナムを横断すると、なぜか涙がこみ上げてくる。

「いいこと悪いことあっても、まあどっちでもいいじゃない。捨てたもんじゃないよ」

こういうことを、作品として作り上げるって相当な腕だよね。

そして一方、「ローカル女子の遠吠え」も違う手法でやっぱり「捨てたもんじゃない」感が満載。
キャラクターたちはたいてい、なんらかのしょっぱい思いをなめてここまできた大人たちで、今も手放しで喜べることなんて大してない。
でもなんだかんだで、めげずに苦笑交じりに今を笑い飛ばして生きて行けちゃってる。

「もしかしたら、それでいいのかもしんないね」

と思わせてくれる。

まあ、「ゆるキャン△」が地方都市のちょっと変わった方向性を持ちながらも、ちゃんと青春を謳歌している女子高校生たちのほんのり甘い物語だとしたら、「ローカル女子の遠吠え」は、少々苦味と辛味の効いた、しょっぱいけれども癖になるパンチの効いた味。

この二つが、意外と合うんですよ。食い合わせとして、非常にいい。ぶつからない。

まあ、もし興味があったら両方読んでみてください。

例えば冒頭の山梨、静岡のどちらが表富士か問題、ゆるキャン△では犬子のホラとして扱われていますが、あれは女子高校生としてはたしかにそうかもしれない。

けれども世界に名だたる「フジヤマ」目当てに観光する際、静岡県と山梨県、どちらに宿泊しますか?
という観光経済という視点でとらえてみれば、どうか。

「やっぱりローカル女子の遠吠えみたに、大の大人が裁判までして山頂の領有権争うような、少なくともビジネスの場では触れたらいけない問題だよな」

という理解に行き着くでしょう?

そういう前提をローカル女子で学んでおくと、ゆるキャン△の周囲の大人たちが、そんな世知辛いゼニカネの奪い合いとは距離をおく、穏和な人たちだということがわかります。
そこは単独作品としてしっかりさせておくべき世界観ですよね。

けれど、けれどですよ?

そこをあえて、「一読者として面白がるために」あえて両作品の世界観を混ぜて見ると、これがまた案外楽しいんですよ。

まあ、そういう楽しみ方をするときは、私はあえて両作品を「芳文社の火薬庫」と名付けて色々脳内でシミュレーションしては、一人ゲラっゲラ笑ってるんですが…家族にも絶対に見せられない姿ですけど。

で、こういう楽しみ方をした場合どうなるのか。
ネタバレにならないよう、たぶん読者数が多い「ゆるキャン△」ファンの皆さん向けに、クイズ形式で「ローカル女子〜」に興味を持ってもらえれば、と思って、ちょっと考えてみました。

ではどぞ。

問1:なでしこは静岡は浜名湖近辺から山梨の富士山のすぐ近くに引っ越してきました。山梨県民と静岡県民は富士山をめぐって対立する県民性を持っています。しかし、なでしこ一家がすんなり溶け込めたのには、フィクションだからではない、ちゃんとした理由があります。それはなぜでしょう? (ヒント:浜松県)

問2:なでしこは同級生たちが目をむくような行動力を誇っていますが、「そうであってもおかしくない」理由があります。それはなぜでしょう? (ヒント:「やらまいか」)

問3:山梨県民の大垣が、作ったこともないほうとうを、愛知県に近い静岡から来たなでしこ一家に振る舞う際に、ハードルをあげられまくって困ってしまいます。しかし「私は山梨県民だから出来るはず」と自分を叱咤激励する際に、背景に「武田信玄」が描かれています。これは「あ、これって芳文社コラボだ!」と分かる人にはわかる、かなりの「笑いどころ」です。ではどうして「笑いどころ」なのでしょう? (ヒント:偉人。戦さの結果)

問4:なでしこたちが静岡へのキャンプで、伊豆を選んだことについて、もし「ローカル女子〜」メンバーがいたら「賢明な選択」とコメントすると思われます。なぜでしょう? (ヒント:「ふうん」)

問5:無事ほうとうを作り終えて好評を得た大垣は、なでしこ一家に山盛りのぎょうざをもらいます。この餃子の特徴はなんでしょう? (これはノーヒント。「ローカル女子〜」の失言王である江戸っ子雲春氏なら、「今食うからここで焼いてよ」と言いかねないですねえー)

以上、おすすめ漫画の読み方ご紹介でした。
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