夏、それは身も心も開放的にしてくれる季節。海では嬌声をあげて水を掛け合うカップルがそこかしこで見られる季節。
大学生の節子はこの日のために買った真っ赤なビキニという名の戦闘服をまとい、茂男の前に恥ずかしそうに現れます。普段見たことのないビキニに胸躍らせる茂男。
「派手かな・・・。あんまり見ないで恥ずかしいから・・・」ビキニ姿の節子は、もじもじしながら下を向いています。その姿に茂男の胸はこの夜に起きる二人きりのラヴタイムの予感を抱きながら、こう答えます。
『奇麗だよ、節子。誰よりも、太陽よりも輝いてる。』
「本当??」
『当り前さ!節子。君は太陽のkomachi Angelさ』
「茂男・・・」
そして、夜を迎えた二人は、旅館で「やや乱れてyo say! Yeah! yeah!」とかしてんだろうな。
もし、タイムマシンがあれば、こいつらをまとめて旧石器時代に送ってやりたい。それが無理なら、東ティモールの選挙監視団をやらせて、命の大切さを教えてやりたいものです。チクショウめが。
自分の大学生の時の夏休みといったら、あまりにも暇すぎたため、横山光輝の漫画「三国志」60巻を全巻読破したくらいです。登場人物がほぼ同じ顔してるから、そのうち誰が誰だかわからなくなって何度も読み返してた。暗い大学寮の中で諸葛孔明が死んだときはガチ泣きしたわ。
そういえば、7月の始め、職場で休み時間に女子社員どもが「今年の夏はみんなで九十九里浜行こうよ。」ってキャイキャイしながら言ってたんですよ。失われた大学時代を取り戻すじゃないですけど、もしかしたら、ビキニだけでなく、夏の開放的な雰囲気に誘われて生マシュマロだって拝めるかもしれない。
乳首が見えないほど乳毛で覆われている僕の体を見て、『男らしい!素敵!抱いて!』とかなるかもしれない。こんなワンチャンを逃す馬鹿がどこにいますか?!いや、いません!!
そこでさりげなく映画シャイニングに出てくるジャックニコルソン、もしくは竹中直人ばりの狂気をはらんだ笑顔で「お、お、おじょうさん方。海に行くのですかいな?あーしも混ぜとくれ」と、よくわからないキャラ設定で尋ねたところ、女子社員どもの中でも体重が100Kgを超えているだろう女が
「スー、勝手に聞き耳立てないでください。ハー、そういうところが嫌われる原因だと思います。」
この女、あだ名はベイダー卿と言いまして、太りすぎのため、喋るときにダースベイダーみたいな呼吸音を轟かすことで有名です。
ムカつくことにこいつは力士並みに歌がうまいんですよ。この女が動揺赤とんぼを歌った時、僕は思わずシクシク泣きましたからね。後輩の歓迎会だったのにまるでお通夜ですよ。歌が始まる前に『ミュージックスターティン
』とかほざいた僕が完全なる哀しきピエロになってたわ。
また、これは余談ですが職員写真撮影の時、こいつが座ったプラスチックの椅子がすごい音を立てて壊れるという出来事がありました。まさしくデブプロレスラー、ビックバンベイダーの名にも相応しい。
っていうかイスが粉々になったのを初めて目の当たりにしました。イスが割れる時、バキキキキッていうんですよ。ご存知でしたか?フォースで自分のイスを壊すとは只者ではありません。
さて、本題に戻りますがそれでもなおも食い下がると、
「フー私の ハー 水着姿を見たいんでしょ。フー本当に最低。セクハラですよ。ハー」と両手を胸の前でクロスさせてのたまう始末。まるでその姿は土俵入り前の横綱の貫禄。雲竜型でも披露する勢いでした。親父の作ったお手製の軍配を持ってこなかったことを後悔する始末。
もし、こんな奴のマシュマロを見たらそれこそこちらのライトセーバーがポッキリ折れて使い物にならなくなってしまいます。
次の日、ヨーダみたいな顔をした上司に呼ばれて「セクハラしたって本当かね。」と問い詰められる始末。
ベイダー卿の目論見通り、ダークサイドに見事に落とされました。僕の夏はこうして終わりを迎えました。
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