やさしい雨
うつくしい雨は
草木に やさしいが
淋しいじゃないか
その朝 遠足の日が
きえたのも雨のせいなら
硝子を伝う いじわるな雫
セッちゃんも カンちゃんも てるてる坊主も
見ている空
お弁当だってつくってもらったのに
母さんのつくったお弁当には
海苔をからめた卵焼きやタコさんもいるのに
せっかくのもみじ狩りが
その朝 雨にきえた
猫もポチも知らん顔
浮きたった心が描かせた
日記帳の もみじが×に消され
そこに「なんで?」と書き足された文字
硝子を伝う いじわるな雫
セッちゃんも カンちゃんも てるてる坊主も
見ている空
うつくしい雨は
草木にやさしいが
草木にやさしくても
こどもはかなしい
指田悠志
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