「ルビーの指輪」について

ルビーの原石のペンダントを買った。
とうぜん高価な宝石なので
ちいさくて
バチカン（金具）もちいちゃいので手持ちの革紐に
通るかどうか。

で、「ルビーの指輪」を聴き返した。
ルビーというと、
いわゆるカットされたものは、若い女性でないと似合わない気がする。
このヒロインも若いのだろうな。
彼もまた、若いのだろう。

気にしないで行っていいよ、気が変わらぬうちに消えてくれ、
といって、引き止めもしない、
強がってばかりの、ほんとうは、さびしがりやっぽい男はまるで、
むかしのわたしを見ているかのようだ。

好きな相手がいても
引き止めもせず、あがきもせず、去っていくのをただ見ていて、そのくせ、
二年経っても相手のことが忘れられない男。
街でベージュのコートを見かけると、ルビーの指輪をさがす、
わたしもそんなさびしい人間だった。

年をとって図々しくなったからか、
むかしより、
好きなものを好きと言えるようになった気がする。

好意を臆面もなく表すようになった。
いまでも弱虫で、むかしのままの情けない人間なのかもしれないけれど。

「ルビーの指輪」のこの男は、
二年経って、それから十年経って、二十年経って、どうなるのだろう。
仕事が、新たな恋が、彼を変えるだろうか。