父の具合がよくない
会いにいくたび、叫びそうになる
笑って話しても、心もとない返事が帰って来るだけだ
父は、絵描きになりたかったが、家のために夢を諦めた
高卒で働き、役員にまでなり、定年後も請われて仕事を続け、あと、2週間で仕事を辞める時に脳梗塞で倒れ、後遺症のために右手を失いました
それでも、左手で書くうちに、右手と同じように書けるようになった
不思議な力のある人で、ディサービスでも人気者になり、倒れてから22年、そんな風に過ごした
私は母は弟がすべての人で、2人にバカにされ、否定され育てられた
父は仕事が忙しかったのと、孤高の人で子供のこと、家庭の細かいことには興味のない人だった
それでも、私と父は似ていると思っていた
父はわかってくれていると思っていた
けれど、何もわかっていなかった
いいお母さんだろうと、私に言ったのだ
そして、お前は何も取り柄がないと笑いながら言った
私に、居場所はなかった
でも、父も母もそれには気づいていなかった
私の心は昔から壊れ続けていた
大丈夫なはずだった
よい医者にかかり、入院し、心も少しずつ強くなりつつあった
父にも、母もなにかがあっても、大丈夫なはずだった
憎んではいなかったが、何の感情も持たないはずだと、思っていた
なのに、私はまた、壊れかけている
なぜだろう
絶えず襲ってくる不安と、どうしようもない恐怖と、もしもの事があったら私はどうなるのだろう
この、想いは、どこをさ迷うのだろう
どうして、いつまでも、いつまでも自分から卒業できないんだろう
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