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2018年12月11日15:56

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人工肛門造設していた人の最期のシーン

ホームで仕事をしていた時の感動シーン。

100歳の女性の最期。

その娘さんはとてもお母さんの事が大好きでほぼ毎日面会に来られていた。
パジャマ、下着、タオル等の必要な物を用意するのは当たり前。
その人は、ストマ(人工肛門)を造設していたので、それに必要な物、例えばテープを剥がす為の剥離剤や皮膚を保護する為の被膜剤、ストマグッツの新製品が出ればそれを持参し試すのをこちらに依頼したりと、お母さんの為に何でもやっていた。

朝・夕面会に来られ、夕食の介助をしていた。
来られない時は必ず前日に「明日は来られないので、宜しくお願いします」と、伝えていた。

絵を描いたり歌を歌ったり、天気のいい日には敷地内を車椅子で散歩に出掛けたりして、その日その日を楽しく過ごしていた。
娘さんがとても良くしていたので、その人も安心して過ごされ終始笑顔だった。
その人はとても可愛いおばあちゃんで、娘さんも本当に優しい人なので、とても素敵な親子という印象が今でも心に残っている。
年齢が年齢なだけに、毎日を悔いなく過ごされていた。

病状と年齢的な事から、少しずつ食事が摂れなくなってしまった。
食事が摂れなくなると、通常点滴という方法を取るのだが、娘さんは点滴を拒否した。
最期は自然の形でという希望だった。

私達スタッフは、本人とそのご家族の意向を尊重し、看取りケアに移行した。
※「看取り」とは、施設や病院において死が避けられないとされる「終末期」の人に対し、身体的・精神的な苦痛をできるだけ軽減し、人生の最期まで尊厳ある生活をおくれるようサポートするため、その時期にふさわしい医療や介護をおこなうことを指す。

大部屋から個室へ移し、ご家族が気兼ねなく面会に来られるようにし、食事が摂れなくなってしまったので、水分だけは少しづつ取って頂いた。
好きな食べ物を口にする人もいるが、その人は特になかったのでハチミツを舐めて頂いた。

処置やケアをする際、必ず声掛けをしてから行なった。
検温時は、体温や血圧の数値を伝え、何か異常があった場合、娘さんに状況説明し安心を図った。
2時間の体交を徹底し、褥瘡(床ずれ)の予防や、お風呂も寝たまま入れるお風呂に入って頂き清潔保持に努めた。
ストマは自分の意志とは関係なく排泄されてしまうので、その管理もこまめに行ない換気にも気遣った。

好きなパジャマを着て、好きな歌を歌い、2人の時間をより多く設けた。

娘さんはいつかお母さんがいなくなってしまうという悲しい思いを持ちながら、でも大好きなお母さんと最期まで楽しい時間を過ごしたいと思いがあったからか、娘さんは常に笑顔でいた。

そんな中、大好きなお母さんと「さよなら」する日が来てしまった。
いつものように、お話しをされていたが突然呼吸が止まってしまい、慌てて娘さんが医務室に来て
「母の息が止まってしまいました!!
今迄、ずっと話しをしていたんですが、急に息が止まってしまいました!!」と涙ながら叫んで来た。

すぐに訪室した。
言われた通り息はしていなかった。
息はしていなかったが名前を呼んで声掛けをした。
当然返事は返って来ない。
返事は返って来ないが、魂はまだ近くにいると信じて、生前と同じ様に声掛けをした。

娘さんは「ありがとうございました。」と、後ろで泣いていた。
その後すぐにdoctor callした。

娘さんに見守られながら、doctorより死亡が確認された。
娘さんはお母さんの「死」を覚悟はしていたが更に号泣した。
私も目頭が熱くなった。
本当に最期の2人の時間を設ける為に一度退室した。

暫くして、「最期までいろいろ良くして頂いて、本当にありがとうございました」少し落ち着いた娘さんが医務室に来た。

このような例はとても珍しい。
通常、死期が近くなると意識が無くなり、会話は出来なくなるケースが多いが、最期まで会話が出来ていたのは極めて稀。
娘さんの献身的な思いが強かったからか。
その思いに、お母さんも応えていたからか。

人の最期は本当に辛い。
だが、このようなケースならお互い納得した感じですごく素敵ないい最期だったと思った。

「死」は、誰でも訪れるもの。
その最期をいかにその人らしく過ごす事が出来るのも、ご家族、知人、施設や病院なら医療スタッフ等、その人が関わって来た人達によるものだと思う。

寿命や病気で「死」に向かう段階に来たら、自分の周りにいる人達の事を考える必要があると感じた。

突然の「死」もあるが、そのような場合もあると考え、常日頃周囲への気配りが必要ではないかと考える。

良い事も悪い事も「自分の行動は必ず自分に返って来る」と言われている。
私もその言葉を常に胸に止め、患者様に対応している。

今、その人の事を思い起こしながら、今後の自分の考えも考えるいいきっかけとなった。
その人に感謝!
ありがとうございました!!

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