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2019年03月26日23:05

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今日はボリビアとのサッカーの試合があったけど、ボリビアに3ヶ月間行ったことがある。

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https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=138&from=diary&id=5554856

僕はかつて1993年に、今日、サッカー日本代表が対戦したボリビアに3ヶ月間ほど行っていたことがあります。これも、10年ほど前に他のブログに書いた記事です。

1993年8月下旬当時、僕が勤務していた建設会社は、サンタ・クルスというボリビア第2の街に農園を所有していた。街の郊外には建設会社の事務所があり、街から200キロほど離れた所に農園があり、事務所と農園をジープで週に1,2回往復する日々が続いた。なぜ往復していたのかというと、農園での生活物資が1週間ほどでなくなるので、週に1度は街まで買出しに行く必要があったのだ。

農園はパンパ(アルゼンチンからボリビア、パラグアイに広がる大草原。「母を訪ねて三千里」というアニメを見たことのある人なら知っているだろう)の真ん中に位置していて、隣の農園まで片道20キロという、日本では想像も着かないような環境だった。東京で例えるなら、東京駅にウチの農園があるなら、隣の農園は品川駅の辺りにあるということになるだろう。そして、その間は、草原と森しかないのだった。

そのような、農園とサンタ・クルス郊外の事務所を往復していた時には、必ず、誰かと一緒だった。農園にはジープが2台しかなかったので、ジープを一人で運転するということはムダ使いということになる。それに、ボリビアの道路は極めて状態が悪いので、初めて来た日本人がすぐに運転できるハズはなかったので、必ずボリビア人の運転手が運転していた。


ある日、農園で勤務する農夫と農夫の家族数人、運転手兼会計士、僕などの数人で農園に向かって移動していた。途中で休憩していた時に、ある農夫の母親が、

「私はね、自分の子供たちには、絶対に大学なんかには行って貰いたくないんです」

と言った。

「えっ、どうして大学に行ってはダメなんですか?」

と聞くと、母親から次のような答えが返ってきた。

「大学に行くと、政治学、経済学とか悪知恵ばかり教えるでしょ。私の子供には、そんなものは必要ないんです。高校までなら、イエス様の教えとか、ありがたいことを教えてくれるけど、大学では悪知恵を教えるから、そんなものは私の家族には必要ないんです。あなた方、日本人が作ってくれた農園で、家族みんなで明るく楽しく農園を耕して、イエス様に祈りを捧げて、私の人生はそれでもう充分なんです。サンタ・クルスの街中にも、ボリビアの至る所にも住む家がないような貧しい人がいるというのに、私は素晴らしい家族、友達、仲間に恵まれて、毎日、楽しく生活が出来ています。こんなに幸せで他の人に申し訳ないぐらいです。私は世界で一番幸せな人間です」

「でも、僕は日本から飛行機に何十時間も乗ってここに来ました。海外で生活してみたいと思って。多くの日本人は仕事の休みを取ると、海外旅行に行ったりしますよ。そして、パリ、ニューヨークなどでブランド品を買ってたりしてます。お金を貯めて高級な車を買ったりもしてます。あなたは、海外旅行、ブランド品、車などには興味はないのですか?」]

と僕が日本人らしいことを言うと、母親は優しい微笑を浮かべてこう言った。

「そういうものは、私の生活には全く必要ないです。別に海外旅行、ブランド品、車なんかなくても、家族で楽しく生活しているだけで満足です。世の中には、住む家が無い人、親がいない子供などがたくさんいるんですから。家族みんなで農園で生活しているだけで、充分に幸せです」

この農夫の母親の話を聞いた時は、僕は本当に驚いたのだった。今の日本人でこんな発想をする人がどこかにいるだろうか?まず、大都市圏ではいないだろう。田舎のどこかの村に行けば、毎日、地元の小さなお寺に行ってお釈迦様に祈りを捧げて、こういうことを言う年輩の人がいるかもしれない。


実は言うと、僕の家族もけっこう教育熱心だった。父が名門国立大学から大手銀行に入って、経済的に恵まれていたので、やはり、子供にも同じようになって欲しいという思いがあったのだろう。さらに、母も学費がなかったので大学には行っていないが、名門高校出身だった。

でも、ボリビアから帰ってきてこの話を両親にすると、学歴重視の父すら頭をかきながら苦笑いして、

「まあ、確かにそうだな。その農夫の母親の言うとおりだな。家族みんなが仲良く楽しく暮らすのが一番だな。家族みんなで楽しく農園で働いているなんて、本当に世界で一番幸せかもな。日本人は、高度経済成長と共にそういう大事なことを忘れてしまったな。お父さんが子供だった頃は、みんな仲良く楽しく生活していたよ。今の若い日本人は本当に可哀相だと思うよ。バカの一つ覚えのように親たちは子供に、

“有名大学、有名企業に入れ!”

としか言わないしな。学校が終わっても、塾とか予備校に行かないといけないからな。お前は、そういう話を聞けただけでも、ボリビアに行った価値はあったのさ」

と言った。

実は言うと、父は宮城県の県北の農家に戦前に生まれていて、高校も名門進学校出身ではなかった。だから、少年時代は、家族みんなで力を合わせて農業をして生活していて、最近20年位の日本の悪い特徴である、“家族崩壊”などとはほど遠い生活をしていた。古き良き日本の農村というのを、よく知っていたのだった。そういう背景があったから、ボリビア人の母親が言ったことがよくわかったのかもしれない。


もちろん、苦学して大学で経済、政治などを勉強して卒業して、就職できた日本人、これから、社会で大成功して、大きな事業、夢を実現させて、色んな贅沢な生活をしたい若い日本人はたくさんいると思うので、ボリビア人の価値観に共感できない人もいるだろう。

もちろん、大きな仕事をしたい、贅沢をしたいと思うことは悪いことではない。資本主義国なのだから、国の産業、経済を発展させるために重要なことだ。でも、今の日本人に最も欠けていることを、いわゆる発展途上国であるボリビア人は知っていると、僕は1993年に秋にボリビアに行った時に気が付いた。ただし、日本では秋だけど南半球のボリビアでは春だったけど。

ただし、そんなのんびりとしたボリビア人もサッカーについてはすごく厳しくて、国の代表なら日本円にして1000万〜2000万円ほどの年俸はもらっており、平均月給が5万円くらいのボリビアではかなり優雅な暮らしをしているので、日本に負けた今はボリビア代表はかなり厳しく批判されているだろう。(苦笑)

写真はボリビアの農園にいた時に撮った写真。25歳の頃の僕と現地のアミーゴの写真と、右はサンタ・クルス市付近にある鉄道と道路が一緒になっている橋を渡ろうとしている車。鉄道が通った後に車が通るのがルール。南米大陸の川は幅がすごく広くて、渡り終えるまでに5分近くかかる。


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