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2019年01月13日11:41

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わたしのカレーは左利き

ぼくは生来の左きき。と言っても、食事中右ききの人とヒジぶつかるとか、英文書くのに左だと隠れるとかそのくらいで、社会に出て困った事は… イヤ、一瞬だけ、本気で右に直そうと思った事があった。

あれは友人と千葉県のカレー店(今は無い)に行った時の事。母国の人お手製の本格カレーのお店で、内装もインド風。興味があったぼくらは恐る恐る中に入り、レジ専門のインド店員に「イラサイマセー」とテーブルへ通された。

テーブルには、人型で木彫りのゾウが置いてある。頭だけゾウで、カゴを背負っている。カゴの中には小さな棒のようなものが何本か入っていた。

友達はインドカレーのナン、ぼくはビリヤーニとかいうドライカレーに決めた。呼ばれてやってきたオーダー係の同じくインド人店員は、背が高く目がギョロっとして怖かった。注文してもうなずくばかりで、言葉を発しない。きっと日本語を勉強中なんだろうと思ってカレーを待った。

数分後、友達におしぼり2枚とナンが来た。さらに数分後、ビリヤーニ(ドライカレー)が来た。おしぼりは4枚。ナンは手づかみだからわかるが、スプーン使うドライカレーにこんなにおしぼり…そこで気づいた。…スプーンがない。

友達も他のテーブルの人も全員ナンだから、スプーンが必要なかった。店員が忘れたのだろう。店員を呼ぼうとしたが、あの怖い巨体はどこにもいない。そこで友達はまさかの発言をした。

友:「インドの本場だし、手で食べるんじゃない?ホラ」

そんなバカな、と思ったが、メニュー表にはどデカい葉っぱに盛られたビリヤーニを手でむさぼる写真があり、目前の皿は、その葉をモチーフにしてある。友達の説得力と、店内の世界観に徐々に警戒心が解かれ、おしぼりを利き手にフル活用し、意を決して米をつかんでみた。

…なんだこの開放感は!酔いしれていると、いなかった巨体のインド店員が鬼の形相でこちらを見ている。ぼくはなにか悪いことしてるのか?

ハッ!…とある事に気づいた。インドでは、絶対に左手を使って食べてはいけない、ぼくはそのタブーを犯したのだ!

すごい速さで近づいてくるインド人に、ものすごく怒られる恐怖を覚えた!目の前まできたインド人は、木彫りのゾウを指差し、口を開く

インド人:「すいませんっ!スプーンここなんすよ!」
移民:「すいませんっ!…え?」

…なんと、最初に見たゾウが背負ってた棒は、引き抜くと木のスプーンだった。しかも謝ろうとしたぼくよりもっとすまなさそうな顔で

インド人:「スプーンここですって書いといた方がわかりやすいっすよね!ミーティングで店長に言っときます!ホントすんませんした!」








…スプーンあったのに思いっきり手づかみで食べてしまった事と、日本語がうますぎる事に口があんぐり。友達はそれを見て大爆笑していた。


勘違いという事はわかったのだが、その一件後しばらく、左利きに劣等感を抱く時期が続いた。人口の多いインド国民に、どうしても左の方がしっくりくるという人もいそうだが。とにかく左利きに大らかな日本に生まれて良かった。さあて、今日もバンバン左手使うぞー!
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