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2019年12月26日01:13

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【生きた証】 この世を生きる意味を問う・・


<strong>余命半年と告げられた男の決意とはナニか・・妄想小説です</strong>


【課長さん あの空き地を公園に・・子供たちの遊び場にしてくれませんか・・】

今日も押しかけて来た 地域住民の陳情だ ○○地区にある空き地についての陳情だった

僕はカウンター越しに説明した

【ここは菅財課です あの土地に看板は掲げているけど 管理しているだけで何の権限もないんです それに僕は課長じゃない 補佐なんだ】

【じゃあどこに行けばきいてもらえるんですか?】

【都市計画でも行って訊いてください・・
というと行けば環境課に・・そこへ行ったら 整備課に行けと言われてさ タライ回しなんだよ 一体どこに行けばいいんだよ!】

一人が声を荒げた

【とにかくここは管理するだけなんだよ・・市民相談でも行ってほしい・・】

僕はイライラして部下にそれをぶつけた

【課長!あんなものほっときゃいいんです うちは土地を管理しているだけなんだし】

【おい、僕は補佐なんだ! 連中と同じことを言うなよ】

あはは そうでした補佐さん すみません 

顔が軽視した目つきだ

【おい 笑って その目はなんだ!僕をバカにしているのかい?】

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僕は定年を2年後に控え この閑職についた とうとう課長になれず
終わりを迎え、仕事なんてヤル気ゼロ・・

市役所勤務・・35年間無遅刻無欠勤なんて何の自慢にもならないクソ人生だと自分でも思った

失敗をやらかしたわけでもないが 無能のレッテルを貼られてからというものは 毎日暇を持てあますようになり。。椅子の重しに毎日来ているようなものだった・・

そんな 僕にはひとつだけ愉しみがあった 一年前に妻を亡くしたが
それは再婚で 娘が一人いた 結婚までは面倒見てやると言う事で今年24歳で 僕から見ても容姿&気立てがよく なにくれとなく 僕の面倒を見てくれたり 家事をこなしてくれていた 

名は真奈美と言うのです 10年は一緒に暮らしていて他愛もない話をするに留まっていたけど それが愉しみだった

陳情者がいなくなって時計を見たらもうお昼・・娘の手造りの弁当開いて食べかけたらいきなり吐き気・・そして気分が悪くなった
弁当のせいではない 半年前から時折なるのです

腹部の膨満感がいつまでも去らない・・
僕は今日こそは診てもらおうと近くの病院に出かけた・・

触診した医師がしこりを捕えて CTにかけて見ましょう・・
と言った

先生!僕はどこか悪いんですか?ずっと健康で医者の世話になった事は一度もなくて・・

前島さん お話しするのは 検査してからです!

CTを分刻みに撮られ 20分も経てば 何枚もの画像が医師の目前に並べられた

ふむ・・これは・・

医師がしばし凝視し そのあと口を開いた

胃の噴門部にガンが見られます あと両肺にもその陰影が・・これはガンですね・・咳とか有ったはずですよ ステージ3から4です 胃のガンから転移したと推測されます

え!ほ、ほんとですか! 僕が ガン?・・

生唾を飲み込み言葉が出なかった 

椅子から崩れ落ちそうになった

僕がもっと衝撃を受けたのはその後の言葉・・

前島さん これは かなり進行していますね・・

そうなんですか! そんなこと信じられないです!
今まで確かに咳はありましたけど 風邪をこじらせた程度とばかり・・

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そのあと 絶望の奈落の底に突き落とされた

手遅れ状態で手術も無理と言う話まで
そして更に余命は半年から長くて一年!

当院は本人告知を前提としていますなんて アッサリ言われて事務的に
お気の毒ですがの前置きもあって こんな酷な【死刑宣告】が 有るのかとさえ思った・・

精密検査をする予約も取らず 家路をどうやって帰って来たのかわからないほど茫然自失・・

自室にこもり 夜になって暗くなっても電気をつけることもなく一点を見つめていた

【お義父さん どうしたんですか 電気も点けずに・・】

いつのまにか娘の真奈美が帰ってきたのか それで我に返った・・
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僕は その夜一睡もできず・・

翌朝 念のためを兼ねて別の病院をたづねた・・覚悟はしていたが 同じことを言われた

おまけに脳のCTからも転移が有るという付録までついた

先生、お聞きしますけど 手術は無理としても
化学療法や放射線治療したら延命できますか?

さあ・・それは・・個人差もありますし 仮に延びても月単位ですね・・
それよりもそういう 治療をすることで体は衰弱して 寝たきり状態となり ナニもできなくなります それよりも痛みだけをとるというホスピスのような施設に入られるのも選択肢のひとつかと・・

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訊けば聞くほど 暗澹とした気分に・・
先生、鎮痛薬で痛みを抑えて 動き回れるのはどれくらいですか?
そうですね・・4カ月位なら通常の生活はできるかと・・それまで好きな事をして美味しいものを食べて過ごされたらいかが?

4カ月か・・
その後は寝たきりとなり 意識不明となり 僕は死ぬのか・・
そんな事を考えたら 恐怖で怖気が襲う

僕は58歳だ・・・もう58ではない まだ58なのだ!死にたくはない!
けど現実を認めるしかない・・

いつのまにか公園に来ていた・・ベンチに座っていた

僕は思った この58年を生きてきて一体何を遺したと言うのだ!
仕事なんてカスだった 家族は僕の血のつながった子供が出来なかった

欲しかったが先妻の子宮に問題があり出来なかったのが 今となっては口惜しい限り・・

僕が死んでこの世に 一体何が残るのだ?なにも無いではないか・・
死ぬのは当然怖いが何も残らないと思うともっと淋しい・・
そう思ってたら 頬から涙が伝う・・

まさに無為徒食のクソ人生だったな・・兄弟はいるにしても 疎遠だし
泣いてくれる人はいるのか・・

そうだ!・・真奈美が泣いてくれるかも・・最後に看取ってくれるとしたら真奈美しか居ない・・

あれが実の娘なら・・結婚して子供産んでくれたら この世に血が残る・・しかし赤の他人だ・・

待てよ・・

僕はある考えがひらめいた・・
そしてもう一つ・・あと4カ月の間に僕は二つの事をやりとげようと 
思った これなら死んだ後も残り 生きる意味がそこにあると 思いこみたい自分がいた・
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