国立映画アーカイブ、特集、1980年代日本映画ー試行と新生、11本目。
Movie Walker
https://moviewalker.jp/mv26358/
1984ゴジラを受けた、平成ゴジラシリーズ第一弾。例によって映画館では
観ていない。
大スクリーンでの鑑賞で、最も印象に残ったのは、芦ノ湖に直立する巨大な
ビオランテと薔薇の花。テレビ画面ではミニュチュアのように見えて、ゴジラ
に対抗しうるような強力な生命とは感じられなかったのだが。やはり映画を観る
ということは、大きなスクリーンと暗い館内、大音響のもとで観るべきだと実感
する。テレビではわからない、ビオランテの美しさと強さ、そしておぞましさ
まで映画館では具に観ることができた。
もともと、私は、科目でいえば「生物」が苦手であった。今でも、生命工学
や機械工学は「敬して遠ざける」方である。
つぶやきにも書いたが、一個の生命体であり、それ自身の「人格」(?)と
感情を持った存在を、細胞レベルにまで還元してしまうことで、私が最も大切に
思っている「人の思い」(この場合、相手がゴジラだから「思い」とは言い難い
かもしれないが、初代ゴジラや、初代ゴジラをめぐる人々の思いは確かに認めら
れるだろう)がないがしろになるような気がするのだ。
同じ小林晋一郎原案の動植物怪獣なら、私は「帰ってきたウルトラマン」
の「許されざる命」の方をビオランテよりは高く評価する。
テレビ番組だから、映画としてのVSビオランテとは比較しようもないのだが、
レオゴンを作り出した水野青年の「失われた青春」、そして郷と水野の友情
の方が、白神博士の娘、英理加に対する愛情より素直に感情移入できる、という
のが正直なところである。
白神博士のドラマにもう一つ感情移入できないのは、英理加が沢口靖子だ、
ということで(^▽^;) これはもう好みの問題なのでどうしようもない。ビオランテ
になる英理加という女性に、私が望むような人間らしさ、女性らしさ、それと
一種、霊的な魅力。それは少なくともこの時点の沢口靖子では出せないと
思う。
白神博士以外の登場人物が織り成すドラマももう一つインパクトに欠ける。
同じ田中好子なら、私は「黒い雨」の凄絶といっていいヒロインの生き様とつい
比較してしまうし、三田村邦彦もちょっと線が細い。怪獣映画というところを
離れた人間ドラマとして観たときに、私の基準で合格点になるのは、前述した
高橋幸治と峰岸徹だけである。あ、渋い脇役ということなら上田耕一さんも
忘れられないが。
いろいろ批判的意見も述べたが、大スクリーンで見るビオランテは怪獣として
とても魅力的であったし、スーパーX2の奮戦も見応えがあった。伊福部昭の
音楽はやはり映画館で聞くものだと思う。このタイミングで見に行けて良かった。
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