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2021年03月18日10:53

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阪本順治 どついたるねん(1989) (国立映画アーカイブ)

国立映画アーカイブ、特集、1980年代日本映画ー試行と新生、4本目。

Movie Walker https://moviewalker.jp/mv26355/

 Movie Walker のあらすじの結末は、タオルが投げられたところで、安達がダウン
を取ることになっているが、実際のラストシーンは、宙に舞うタオルがアップになって
おり、安達がダウンを取ったかどうかはよくわからなかった。
 映画としては、試合の結末がわからない方がいいと思う。
 Wikiも上げておく。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A9%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%9F%E3%82%8B%E3%81%AD%E3%82%93

 ボクシングのほか何も知らない不器用な男、安達英志。元チャンピオンだが、
新進ボクサーのハードパンチにやられ、脳を大手術。再起不能を告げられる。
ボクシングしか知らない英志には、結局、ジムの経営もその短気で強引な性格
からうまくいかず、もう一度リングに上がることを決意。そのカムバック戦に
に至るまでの男の生き様が映画のテーマである。

 まず主演の赤井英和。この時点では演技経験はほとんどないと思われるが、
まさに自らの半生を映画化したものだから、安達=赤井という感じが実に良い。
変に意識的に演技せず、その地のままの魅力を生かしたところが成功の原因であり、
監督の手腕だろう。

 脇を固めた俳優陣に芸達者が多かったことも、この映画の魅力で、
安達のもとでコーチを務め、のちに、安達自身のカムバックに向けてのコーチ
も引き受けることになる左島(原田芳雄)安達が男の猛々しさを表すとすれば、
こちらは強い男の優しさ。試合を止めて欲しいと言いに来た貴子(相楽春子)
に、試合で死ぬかもしれないのは(相手の)清田も同じことです、と優しく
告げるシーンが忘れがたい。

 安達に思いを寄せているナショナルジムの娘、貴子(相楽春子)。私は、
スポーツの楽しさ、面白さは全く経験がないので、安達を案ずる貴子の気持ちが
一番よくわかった。試合直前に通天閣に一緒に登り、安達が、意識下にある
死の不安に襲われて、思わず嘔吐するシーンが胸に迫る。

 あと、安達のスポンサーになる、おかまバーの持ち主、美川憲一。
男と男の戦いの美学に惹かれる、不思議な個性が映画に彩りを添えていた。

 ナショナルジムの会長を務めるお人好しの鴨井を演じる麿も忘れがたい。

 汗臭さと熱気が飛び散るような、とても真摯な映画だった。
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