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2021年03月16日14:57

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市川崑 犬神家の一族(1976) (国立映画アーカイブ)

国立映画アーカイブ、特集、1980年代日本映画ー試行と再生、3本目。

 Movie Walker Press https://moviewalker.jp/mv18420/

 いわゆる「角川映画」の第1作。原作はもちろん読んでいるし、テレビ化された
「横溝正史シリーズ」でもおなじみ。あらすじについては特にあげる必要もないだ
ろう。

 まずびっくりしたのは、あの複雑な原作を2時間半に凝縮した脚本と市川崑の手腕。

 当然、原作からすると小さなトリックや感情描写は省略されているし、犯人像も
かなり異なっている。

 この映画の松子夫人は、亡き犬神佐兵衛翁に操られたかのように殺人を犯した
ことになっているが、原作の方は、あくまで息子のため、である。また、殺人の
事後処理をしてこの犬神家の連続殺人を演出した青沼静馬も、明確に犬神家乗っ取り
の意志を持っているが、原作の方は、復讐心に燃えてはいても、叔父ー姪の関係に
なる珠世とは結婚できずに、自縄自縛に陥ってしまい、最後に松子に殺される、
という複雑な造型となっている。

 しかし、原作の「青沼静馬による犬神家乗っ取り計画」の部分に焦点を当てた
映画は、娯楽作としてとてもわかりやすく、横溝ミステリの怪奇色も遺憾無く
発揮されていて、やはり傑作と言えるだろう。
 それに、後々になると、角川映画は、わざわざ原作とは違う犯人を設定して、
興行収入の増加を図ろう、というあざとい手段に出るのだが、原作以外の犯人
の作品はやはりかなり無理がある。その点、この第1作は原作を尊重している
ので、横溝ミステリとしても十分に鑑賞に耐える。

 私は、金田一耕助は古谷一行、の人で、石坂浩二はちょっと上品すぎるなあ、
と常々思っていたのだが、スクリーンで観るとさほどでもなかった。十分、むさ
苦しい(笑)
 松子夫人は、高峰三枝子よりはテレビ版の京マチ子の方が、「しんねりむっつり」
の強さを感じさせて良いと思う。珠世さんは、島田陽子の方が美しい。

 何れにせよ、日本の映画界に一石を投じた「角川映画」その第1作にふさわしい
映画だと思う。

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