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2021年03月16日12:48

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森崎東 生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言 (1985) (国立映画アーカイブ)

 国立映画アーカイブ、特集、1980年代日本映画ー試行と再生、1本目。

 Movie Walker Press https://moviewalker.jp/mv17404/

 森崎東監督が、自身の映画の看板女優である倍賞美津子を女主人公
に迎え、世間からはみ出してしまった人々の切ない悲喜劇を描く。
倍賞美津子が映画賞を総なめにしたのも頷ける。体当たりの熱演。

 様々な事情から、いわゆる「普通の市民生活」からドロップアウト
してしまった登場人物たち。ドサ回りのヌードダンサー、バーバラ、
(倍賞美津子)内縁の夫で、原発の下請け労働者をしながらバーバラと
流れ歩く「原発ジプシー」の宮里(原田芳雄)、ヤクザ組織や不良刑事など
いわゆる裏社会との繋がりがある。バーバラの弟の正は、不良中学生で、
修学旅行から外された恨みから、仲間のタマ枝、和男と、旅行の積立金
の強奪事件を起こし、追われている。タマ枝は父なし子であり、自身も
誰の子かはっきりしないが妊娠中。この3人の中学生に人質に取られた
気弱な担任教師、野呂(平田満)連れまわされているうちに、共犯を
疑われ、教師はクビに。ひょんなことからバーバラの荷物持ちになって
しまい、旅先の福井県の原発で、正とともに作業員になる。

 バーバラは少し、頭の弱い(こういう表現は嫌なのだが)親友のアイコ
(上原由恵)を、原発作業員相手の娼婦の仕事(当然、暴力団の息がかか
っている)から足抜けさせるよう宮里に頼んでいた。アイコの恋人の安次
(泉谷しげる)は作業中に放射能を浴び、その話が外部に漏れて「処分」
されるのを逃れるため、宮里の手を借りて、墓穴を掘り、防護服を着て、
墓穴に隠れていた。

 原発の作業員が放射能汚染で死ぬと、どこからともなく黒いヘリが
夜中にやってきて、死体を運んでいくという…

 宮里はアイコをあし抜けさせたことで、逆に暴力団に目をつけられて
しまう。アイコはなんとか安次を墓穴から掘り出し、おかしくも哀しい
墓場での結婚式を、バーバラと野呂を立ち会いにしてあげる。

 無事、暴力団の手から逃れて、他の土地へ向かったと思われた、
アイコたちだったが、フィリピンから日本へ出稼ぎ(いわゆる「ジャパゆき」
さん)にきて、三食カップラーメンで、客を取らされているマリアを助けよう
としたことから、逃げ切れず、海上の船から撃たれて殺されてしまう。

 実は、宮里はアイコを殺した船を運転させられていた。バーバラや正
たちは、殺人を目撃してしまったマリアを何とか逃がそうとする。
宮里はバーバラに、自分がなんとかしてやる、と請け合い、マリアと正
を美浜から脱出させることに成功する。

 名古屋の沖縄集落に戻ったバーバラたち。そこへ、組員の戸張(小林稔侍)
が、宮里にアイコ殺しの代人として自首しろと言ってくる。宮里は拒否し、
結局、戸張の子分に撃たれてしまう。そして、組とつながっている悪徳刑事
(鎧刑事=梅宮辰夫)との撃ち合いになり、バーバラは宮里をかばってショ
ットガンをぶっ放す。

 事件は、警察にとっても後ろ暗いところがあったため、公にはならなかっ
た。マリアは、フィリピンへ送還され、バーバラはそれを見送りに行く。
「あふれる情熱、みなぎる若さ、協同一致団結、ファイト!」と言いながら
手を振るマリア。それはかつてアイコが安次と考えた「宣言」だった。

 天気雨の降りしきる中、バーバラは、アイコの口癖を空に向かって叫ぶ
のだった。「バーバラですよ。ご飯食べた?」

 映画の終わり近く、宮里が野呂に向かって、バーバラとの馴れ初めを
語るところがとても切ない。二人は、15年ほど前、沖縄のゴザ暴動に
巻き込まれたため、沖縄を離れた。住民票を持たない二人。バーバラは
ドサ回りのヌードダンサーになり、宮里はその後を追うように「原発ジ
プシー」に。二人は行く先々で逢引を重ねるが、二人で抱き合っていなが
ら、バーバラは「会いたいよう、会いたいよう」と繰り返す。

「会いたいよう、会いたいよう」

 実際に抱き合っていながらそう漏らさずにはおれない男女の寂しさ。
ヌードダンサー姿が切れるように美しい倍賞美津子と、放射能障害の
せいで、足の自由のきかないという設定の原田芳雄。

 様々な要素の詰まった映画だったが、私には、バーバラと宮里の
どこまでも切ない恋物語だった。

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