生誕100年、映画女優 原節子。5本目。
Movie Walker
https://movie.walkerplus.com/mv24489/
この作品のあらすじはほぼ正しいので、映画の詳細は上のリンク参照。
結婚4年目にして、子供もなく、早くも倦怠期を迎えてしまった並木亮太郎
(佐野周二)文子(原節子)の夫婦。二人は典型的な「中の下」の生活を新興
住宅地の梅ヶ丘駅近くで送っていた。
そんな平凡な夫婦にも関わらず、いや、むしろそう言う夫婦だからこそ、日々の
生活に小さな波風は絶えない。
夫が読む新聞を先に切り抜いてしまう妻、小言を言う夫。新婚旅行先から転がり
込んでくる妻の姪と夫族への不満。隣に越してきた新婚夫婦との付き合い。妻が餌
をやっている野良犬をめぐる近所とのトラブル。夫のリストラ危機。などなど。
原節子は、小津映画の「紀子3部作」の紀子とは全く違って、どちらかと言うと
しんねりむっつりした、陰性の主婦を演じて、新たな一面を見せてくれる。
しかし、台所で立ったままお茶漬けを書き込むシーンは「麦秋」へのオマージュ
だろう。
夫婦の波風を描きつつ、決して深刻すぎる内容にはなっておらず、むしろユー
モラスにどこにでもある話として描いているのは脚本の水木洋子の優れた手腕。
ラストは、夫婦二人が、近所の子供が遊んでいた紙風船をついているところ
で終わる。なんだかんだ言いつつ、二人はこれからも一緒に人生を歩いていく
のだろう、と思わせる明るいものである。
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