mixiユーザー(id:6645522)

2020年10月23日11:56

56 view

谷口千吉 吹けよ春風(1953) (国立映画アーカイブ)

 生誕100年、映画俳優 三船敏郎、4本目。

Movie Walker https://movie.walkerplus.com/mv23444/

 今回の特集で、三船が主演、または重要な役柄の映画、古いところを中心に
8本観ましたが(「大盗賊」を観れなかったのは痛恨の極み(^_^; )、今回の
私のベスト1はこれ!

 映画的には「小品」と言ってもいい。ただ、人情味に厚いタクシー運転手
の三船敏郎が、様々な乗客たちの人間模様を見るという映画である。
 乗客たちの人間模様も、特に大事件はなく、実際のタクシー運転手が出会
っても良さそうな、いかにも日常的な風景。

 ただ、まだ「自動車」というものが贅沢品の戦後間もない時代背景は、
考えに入れておかないと、最初に出会う「100円分だけ車に乗ってみたい」
という小さなお客さん集団の夢や、それを叶えてやる三船のタクシー運転手
の心の温かさはわからないだろう。

 この映画や「この二人に幸あれ」などの、おおらかで喜劇的な三船の演技
を観ていると、彼の本質は喜劇にあったのでは、と思わせられる。

 特に、人気女優(演じるのは淡路恵子)を拾って、ファンの人混みから
逃れて、一息入れる彼女と一緒に外苑をドライブ。「幸せの黄色い車」と
いう歌を声を合わせて歌うところなど、三船が本当に楽しそうで、観ている
私たちも本当に幸せな気分。

 三船が黒澤と出会ったのは、映画俳優、三船敏郎にとっては貴重な出会い
だが、三船個人にとっては幸せだったのかどうか、そんなことまで考えて
しまうほど、この映画は心を暖かくしてくれる、いい映画だった。
2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する