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2020年10月20日16:15

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本多猪四郎 港へ来た男(1952) (国立映画アーカイブ)

 生誕100年、映画俳優 三船敏郎。3本目。

 Movie Walker https://movie.walkerplus.com/mv23398/

 銛1本で、巨大な鯨と対峙する、捕鯨船の船乗りたちの物語。巨大な鯨が
水揚げされる様や、銛を打ち込む様、捕鯨船によって鯨が引っ張られている
さま、など、すでに失われた「捕鯨」のダイナミックな光景がスクリーンに
繰り広げられる。私にとっては映画の醍醐味の一つ「他の誰も見たことが
ない風景」を見せてくれ、それだけで十分見所がある。

 捕鯨船、天津丸の船長、岡部。日本一の銛撃ちと言われるベテラン船長
(志村喬)のもとに、商船大学出ながら、若くして銛撃ちとして頭角を
表した新沼(三船敏郎)が船員としてやってくる。

 この二人の海の男たちの対立と和解が、人間の側の物語のテーマである。

 岡部は、男たちの贔屓の料亭「喜楽」の女将、園子に年甲斐もなく
惚れており、料亭を自分の金で買い取って、園子に与え、引退することを
考えていた。ところが、園子の方は「喜楽」に下宿していた新沼に想いを
寄せていて、新沼が泥酔したある夜、結ばれてしまう。

 そんなこともあって、新沼は、天津丸を降り、新たに富久丸の船長として
迎えられる。そのため自然、2隻の捕鯨船は、漁を争う格好になって…

 三船敏郎が「海の男」というのは十分想像できるが、志村喬が、
年甲斐もなく若い娘に惚れてしまう、「港港に女あり」型の無頼漢を演じる
というのは少し意外ではあったが、単なる船乗りではなく、「捕鯨の銛撃ち」
という、腕と度胸と頭を必要とするベテラン船乗り、という役作りで、
型に収まりきらない「海の男」像を見せて、ぴったりだった。

 一方、三船の方は、酒癖こそ少々悪いものの、学校出のインテリで、
「海の男」の一般的イメージや、志村喬の岡部とは違う、少し冷静な
「海の男」で、志村喬の古い「鯨捕り」とは違う、新しい船乗りとして
活躍する。

 岡部が昔、芸者に産ませた息子、西沢信吾に小泉博。若くてスマート
でハンサム。最初は父を慕って、捕鯨基地にやってくるが、父が、園子に
惚れていて、その写真まで飾ってある船長室を見て失望し、結局、新沼に
拾われる格好になる。この対立する「親子の名乗り」も見所の一つ。

 嵐の夜、天津丸は捕えた鯨を捨てることを拒否する岡部の頑固さに
よって遭難の危機に陥る。船員の家族たちの嘆きを聞き、救援に向かった
のは新沼の富久丸だった。

 無事、天津丸の船員たちを助け出した新沼。この事件をきっかけに
新沼と岡部は和解。新沼は園子と結ばれ、岡部、新沼、信吾は揃って、
南氷洋へ向けて船出していく。

 とにかく鯨が大きい。日本の産業の一時代を支えた人々の躍動感あふ
れる生き様がしのばれる。

 園子役の久慈あさみがとても美しく、二人の海の男に惚れられる、
陸の女を生き生きと、そして暖かく演じており、この三角関係には
単なるロマンスに終わらない生活感と滋味がある。

 本多猪四郎監督は、役者の個性をとてもストレートに引き出しており
見終わった後の明るいラストは、鯨の力強さと相まって、観客まで、
何か新しい力を与えてくれるようだった。
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