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2020年01月14日16:57

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大洲斉 ひとごろし(1976) (シネマノヴェチェント)

 新年恒例の高橋洋子さんを囲む集い、なかなか機会がなかったのですが、
今回、ようやく行くことができました。
 しかも、没後30年の松田優作さんとの共演作。これは見逃せません。

Movie Walker https://movie.walkerplus.com/mv18414/

 旧大映が倒産し、徳間書店が経営に参画するようになった新大映と
永田雅一、旧大映の時代劇スタッフが結集した映像京都との提携作品。
(「ひとごろし」の映画史における位置付け、大洲斉氏のプロフィール、
映像京都のプロフィール、撮影裏話などは、七涙八喜氏の自作パンフ
に多くを負っている。改めて記してお礼を申し上げたい)

 テレビ映画出身で、多くの演出作品のある大洲斉監督の映像は、
良くも悪くも「テレビ時代劇を見ているようだ」という印象をまず受けた。

 映像の広がりやスケール感という点で言えばやや物足りないのだが
人と人との関わり、六兵衛と昂軒のいつ果てるともしれない当人同士は
大真面目なのに、観ている方は笑ってしまうという毛色の変わった
ユーモラスなやり取りのあれこれ、六兵衛とおようの微笑ましい道行
と恋愛、富山藩で危うく昂軒と一騎打ちさせられそうになり、卒倒し
てしまい絶体絶命でとうとう正気を失ったふりをして切り抜けるところ
などなど、松田優作の、若さで「新しいことをやってやろう」という良い意味
で力んだ演技に、丹波哲郎がどっしり画面を支えて、50歳を超えている
とは思えぬ、堂々たる体躯で構えているところは、テレビ映画のように
お茶の間で親しく観ているような、身近に感じられる演技がとても面白かった。

 高橋洋子さん扮するおようの、可憐でありながら、自らの意思で、
六兵衛と行動を共にするちょっと風変わりな気丈さも可愛い。

 京都の自然の中で、ロングショットで捉えられる、六兵衛、おようと
昂軒の追いかけっこも大きな視点ではなく、細部からこだわって見る視点
になっていて、観ているだけで笑えてくる。

 ストーリーの軽妙さ、軽やかさをそのまま音楽にしたような宙明サウンド
も素晴らしく、82分間、とても楽しいひと時を過ごした。

 正統派時代劇もいいけれど、こういう快活な、観終わった後、微苦笑が
残るような時代劇も、いいなと思いました。

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