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2020年06月08日15:52

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室谷川

室谷川は阿賀町から只見町方面、つまり文字通り会越国境にダイレクトに突き上げる沢で、そのうち特に駒形沢は、上部に「桃尻スラブ」との異名?通称?を持つ優美な曲線のスラブを有し、会越を偏愛するものを魅了してやまない。
だが御神楽のスラブ同様、泳ぎ必須でありながら、盛夏には虻と藪に阻まれる。またルートは長大かつ深いゴルジュを持ち、増水のリスクは絶対に冒せない。よって、会越に憑りつかれた私にとっては、これまた長期にわたり虎視眈々とタイミングをうかがいながらトライできなかったルートだった。今回、土日ともに晴天という天候条件と、前回山伏尾根登攀時に雪渓がもうほとんどないことを確認し得たことから、泳ぎにはやや早いが敢えて挑戦することにした。

室大久蔵沢出合いから入渓。しょっぱなから泳ぐ。寒い。泳ぎとへつりを交えて駒形沢出合い。ここから小滝連続、一つ一つが困難ではないがテクニカル。出合いから3時間ほどで桃尻スラブに達する。
桃尻スラブ自体は易しいがその上にもスラブ群が続き、垂直の藪登りを交え、3回ほどロープを出してドンピシャで、狙った稜線のコルに達する。眼下にはスラブと、一直線に駒形沢が室谷川に達する様子がよく観察され、感無量である。が、時刻も迫り、パートナーと握手して直ちに西の沢へ下降する。

西の沢は、記録通り懸垂を繰り返す、が、これがまた、こう、バシッとした支点もない、頼りない灌木の束に切れそうな捨て縄、これに命を預けるのかと思うとしみじみしちゃうようなしろものだ。しかし現実はしみじみする暇もなく、必要な個所には新たに捨て縄を足し、足ししてひたすら降りる。特に最後の懸垂は、もろ滝のど真ん中に着地し頭から濡れる。。ようやく標高を下げたころには夕暮れも迫り、ちょうどよい幕場に恵まれ、急いで整地し、焚火を起こし、体を温めて熟睡した。
翌朝は快調に西の沢を下る。昨夜頑張った甲斐あって、悪場は既に終えていたようだ。最後に快適な懸垂を終えて室谷川本流に戻る。ここから駒形沢出合いまではひたすら美しい。泳いだりへつったりしながら駒形沢出合いに戻り、更に駒倉沢を経て大久蔵出合いへと戻る。

泳ぎ、へつり、高巻き、クライミング、藪漕ぎ、懸垂、ルーファイと沢のすべての要素が詰まったエメラルドグリーンの宝石箱のような沢であった。久々に身体がバキバキになった、こんなに身体をやられたのは、春のジャンダルム飛騨尾根以来かもしれない。だがあの時は標高差2000であった。今回は標高差わずか700程度、肩の痛みにルートの厳しさを改めて思う。この美しく厳しい、しかし地味でオタッキーな沢に付き合ってくれた同行者に感謝。



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