社長の耳はロバの耳

この誉める

陽気にさせる

笑わせるってことは簡単なようで

コレがやってみると案外簡単ではない

顔を誉める性格を誉める

相手の喜ぶことを何かするってことは

バカでは出来ない

利口なら情けなくなりこれまたしない

酒席の中

今回の主役

社長さんを前にすると何とか盛り上げなければ

何とか気分よくさせなければと工夫を凝らす

ところが困ったことに

今回の接待した社長さん

誉めるところがない

顔は…

目隠をし

酒を浴びるほど飲んで

バットのグリップをオデコに当て

10回グルグル回って

サア福笑いしてごらんって…顔

性格は神経質で

苦虫を圧し殺したように無口で

こちらから問いかけても返事もしない

困った困ったこまどり姉妹…なんて

一昔前のギャクデも飛ばそうものなら

じろりと睨まれ席を立ちそうで

困った時にはマメダさん

この道50年の芸者さん

時の氏神と僕が一目置く女性

さっそく呼んで社長の横へ

マメダさんウンウン頷き

石の地蔵さんかと思うくらいの社長が

ベラベラ喋りだした

マメダさんはウンウン聞くだけ

酒宴は盛り上がり社長もご機嫌

さすがにマメダさん…あしらいは見事

酒宴が終わりマメダさんにお礼

ところでマメダさん

社長と何を話してたんですか？

何も言わしまへん

お聞きしただけどす

喋るのだけが芸と違います

聞くのも芸の打ち

社長さんの耳はロバの耳みどすえ

聞きたいことはたんと聴いてきはったから

たまには自分の話も聞ぃてほしいとき…ありますから

なるほど…またひとつ勉強になった

やっぱプロは違う