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2020年01月19日13:49

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ホワイト・アウト

先日はマイミクさんからお誘いいただいたプライベートセッションにて、『ホワイト・アウト』(トーキョーN◎VA THE AXLERATION、以下TNX)をプレイヤーとして遊んできました。

今回はアクト(TNXにおけるセッション)の一週間ほど前にルーラー(TNXにおけるGM、以下RL)からアクトトレーラー(TNXにおける今回予告)とアクトハンドアウト(TNXにおけるシナリオハンドアウト)の提示があり、その内容から昨年公開された三谷幸喜監督作品『記憶にございません!』から発想を得たシナリオであることを読み取ることができました。

わたしは『記憶にございません!』についてはまだ予告編しか見ておらず、“史上最悪と評される内閣総理大臣がひょんなことから記憶を失ってしまい、彼を支える秘書官たちが東奔西走する話”ということくらいしか知らないのですが、それだけでもコメディ作品としての面白さは十分感じ取れました。そして、三谷幸喜作品であれば、9割5分の笑いに5分の感動が添えられているのだろうなと予想しています。因みに、三谷幸喜作品でもっとも好きなのは『笑いの大学』です。少なく見積もってもラジオドラマで10回、映画で5回以上視聴しているはずですが未だに心の底から笑い泣きできます。

『ホワイト・アウト』においては、公式設定上悪名高きN◎VA司政官・稲垣光平がある日突然、強欲の権化から贖罪の聖人に変貌してしまったことによって翻弄される秘書官的立ち位置を4人のキャスト(TNXにおけるPC)たちが務めるといった筋書になっていました。ただし、実際のキャストは秘書官などではなく、「稲垣と共に甘い汁を吸ってきた悪党」「稲垣の寵愛により贅沢三昧してきた愛人」「稲垣の手下として汚れ仕事を請け負ってきた始末人」「稲垣の身辺調査を命じられた情報屋」といったかなりダーティーな面々。

今回が初『TNX』だったわたしは優先してキャストを選択する機会をいただけたので、「稲垣の手下として汚れ仕事を請け負ってきた始末人」を担当することにしました。この選択は、世界設定に疎い身として誰かに命令される立場の人間のほうが扱いやすだろうということに加え、三谷幸喜作品に含まれるシリアス要素をプレイヤー側から盛りやすいのはこの始末人だろうと考えたからです。その思惑からわたしが作ったのは、稲垣光平の殺害を目論む彼の落とし子というキャストでした。

公式ゲスト(TNXにおける主要NPC)の血縁者を設定したり、殺害を目論んだりすることを好ましく思わないTRPGerも少なくないとは思うのですが、これまでの経験から今回のRLの受け皿が広いことは感じていましたし、稲垣という人物の公式設定から落とし子の一人や二人は居て当たり前だと思えました。また、殺害を目論むといっても、アクト中に実際に殺害するのではなくキャストの背景として設定しただけで、実際には今回のアクト中にその考えが変わっていく心情の変化を描いていきたいというのがその狙いでした。そして、念のため事前にRLに許可を求めてみると、これを快く採用してくれました。

ただ、わたしがRLへの根回しをしているあいだに、稲垣の愛人キャストを担当する参加者が「私は未来から送り込まれてきた女です」という設定を突っ込んで来たことには笑ってしまいました。あ、このメンツはそのノリでいいんだ――と(笑)。まあ、未来人がプレイできるのはシステム的に認められていることだったのですが、このシナリオでその設定だと根幹部分が大きく変わってくることが予想されます。さらに凄かったのは、そのプレイヤーがアクトのクライマックス前になったところで物語の根幹を揺るがす後付け設定を追加でぶち込んできたことです。具体的に書いてしまうと、稲垣の愛人はわたしのキャストである始末人の娘であったという設定なのですが……。つまり、血縁的に彼女は稲垣の孫娘にあたるという(笑)。

参加者がそれぞれ物語を面白くするための素材を持ち寄り、それを互いに調整し、ときに舞台設定をも書き換えて、その面子でしか作れないユニークな物語を作り上げること、そのことに関してTRPGはほかに類を見ない遊びだとわたしは認識しています。そういった意味で、今回のアクトはわたしにとってとてもTRPGらしい遊びとなりました。

また、そうやってプレイヤー側から盛られた設定が自己完結で終わらずほかのキャストとの交流につながるものになっていたり、あるいはほかのプレイヤーも含む第三者を楽しませる内容になっていたことは素晴らしかったと思います。

わたし自身のプレイに関わるものとしては、RLと情報屋のキャストの協力・誘導により、稲垣とふたり下町の古びた定食屋で親子丼を食べるシーンを作ることになった流れには感慨深いものを感じました。また、聖人化した稲垣がそれまでの裏の関係の清算のために渡してきたお金でその支払いを済ませるところにも物語性を出すことができたものと思います。

最後にシステムについての感想をいくつか。

まず、ルールブックの巻末に切り取って使用するためのカードを収録するのは使いにくいことこの上ないのでやめていただきたいです。まあ、商品としての都合はあるのでしょうが、複数冊購入すれば済むという話でもないので。昔購入した天野喜孝デザインのタロットカードは書籍として本とカードを分けてちゃんと流通させていたのにね……。

次に、戦闘はいわゆる「神業ゲー」で予定調和的なものなのですが、実はほかのF.E.A.R.のシステムに比べるとあまり気になりませんでした。なぜなら、そもそもダイスロールがなくて、通常攻撃も演出することがメインの予定調和内で行われていたからです。そこに「ダイスロールした意味ないじゃん!」というガッカリ感はありません。

まあ、神業はノックアウト時のフェイタリティ技のような扱いにしてしまい、戦闘と神業は切り分けたほうがゲームとしては良いのではないかという気がしないでもないですが。なにせ、今回の戦闘ではわたしのキャストが日本刀で攻撃をしかけた瞬間に神業の打ち合いが始まり、日本刀を振り終えたときには戦闘が終わっていましたからね(笑)。

また、ほかのF.E.A.R.のシステムでも似たようなことがあったのですが、「シーン」「舞台裏」「情報収集」の運用には未だ馴染めません。RLから提示されている情報項目に対して、まずシーンで情報収集を行えるが舞台裏でもまた情報収集を行える。ただし、舞台裏で情報収集を行った場合にはロールプレイは行われない(ルール的には行ってはならない)。こういった処理はロールプレイ機会の均等化、およびプレイ時間の短縮を考慮したものなのでしょうが、ルールどおりの運用だと物語の流れが不自然に感じられてしまうのですよね。

わたしは常に第三者に読ませる物語づくりを意識して場面を演出したいと考えてしまうため、つい舞台裏の情報収集についても、キャストがどのような根拠を持ってその調査にあたり、どのような方法を使って情報を得たのか、ロールプレイを含めて演じてしまいました。今回のアクトでは許容してもらえましたが、これはルール通りの運用では認められないプレイなのでしょう。うーん、難しい。

このように、システムについては不慣れな部分、馴染めない部分といろいろあったのですが、TRPGではシステム以上にシナリオが大切で、それ以上に参加者が大切というのがわたしの持論です。その意味で今回はとても恵まれたアクトとなり、楽しい時間を過ごすことができました。

同卓した皆さん、お疲れさまでした&ありがとうございました。
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