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2020年09月22日05:43

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文章に酔いしれる。 「ミルク・アンド・・ハニ―」村山由佳

「男の躰の重みなど、とうに忘れてしまった」
という一節から始まるこの小説は、
2009年に刊行された「ダブルファンタジー」の続編だ。

人よりも性的欲求が強い脚本家、奈津が男と性を求め
彷徨い、本当の愛に出会うまでを描いている。
性愛がテーマなだけに官能的な場面も多いが、ただの
エロ小説にならないのは、言葉の力の圧倒的な強さに
ある。

「自分には持病があるのだ(中略)。男を好きになると、
頭のねじが緩むどころか弾けて飛んでしまう病。恋慕の
情は奈津にとって、甘酸っぱい果実でもなければ、切なく
美しい花でもない。ただの、血に飢えた獣だ」

「いつも思うことだが、肉体の快楽は、じつは肉体の
ものではない。躰が感じるのではなく、感じるのは脳で
あり心だ」

「熱い肉汁と焦げた醤油の風味が混じり合うのを
味わいながら、さりげなくテーブルので脚を組み替え、
腿の奥のほうに凝った昏い熱をそっと逃がす」

……他にもまだ刺さる言葉がいっぱい詰まっている。
改めて小説家ってすごいなあと思わせてくれる作品です。
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